あなたは経営者として、
経営者の仕事をこなしていますか。
それとも、それすら不明ですか。

私たちは、忙しい、忙しいと言います。
しかし、その一日を振り返ったとき、
本当に必要なことに過ごした時間はわずか、
それを知ればきっとビックリするのではないでしょうか。

そのくらい私たちは
無駄に時間を費やしてしまっているようです。
あなたの場合はいかがでしょうか。

あるアンケート調査によると、
サラリーマンの78%が、1日あたり70分、仕事すべき時間内に、
仕事以外のことに時間を費やしているそうです。

一番多い無駄遣いは、
仕事中の仕事に関係のないネットサーフィン
(Google、Facebook、LinkdIn、Yahoo!、Amazon、YouTubeなど)、
私用メール、ついで無駄な会議、同僚との雑談に費やし、
その他、午前休憩10分、午後の休憩10分、昼食60分を加えると、
8時間労働のうち、実に150分、
約31%の時間を無駄に費やしているそうです。

これは自己申告を元にしたアンケートですが、
実際にはその他トイレの個室に寝に行く人もいるそうで、
極端な例では1日あたり3時間以上仕事せず
オフィスにいる人が10%いるそうですので、
経営者にとっては頭の痛い問題です。

なぜサボってばかりいるのかという質問に対しては、
それにより生産性が上がるからと答えています。

その半数近くの2位の回答は、
仕事が面白くないからだそうです。

最も仕事をしない曜日は、月曜日と金曜日の午後。
そのような仕事しない年齢層で多いのは
26歳から39歳ということです。

会社は会社のコンピュターに対して特定のサイトをブロックし、
仕事に専念してもらうようにしているそうですが、
個人の携帯電話まではブロックできないため、
どうすることもできないそうです。

もしかしたら日本でも近いうちに
同じ問題が発生するかもしれません。
それでは、オフィスに人はいるのに仕事をしていない、
だから経営者が忙しくなるのでしょうか。

答えはどうやらそうではなさそうです。

答えは、自分は経営者、そういう自覚に欠けるため、
すべきことより雑用に自分を奪われてしまうからです。
だから忙しくなります。

あなたはセールスマンではありません。
あなたはマーケティング担当者ではありません。
あなたは人事担当者でもありません。
あなたはカスタマーサービス担当者でもありません。
あなたは技術者ではありません。
あなたは経営者です。

だったら経営者としての仕事に取り組む必要があります。
それをしていないから、すべてのことに首を突っ込み、
おかげで忙しい思いをすることになります。

それどころか、肝心要のあなたがすべきことをしていないため、
表面的にはなんとかなっても、重要なポイントが疎かになり、
ビジネスの発展を期待できなくなってしまうことになります。

でも、スモールビジネスはそんなことなど言ってはいられない、
すべて自分でやらなければいけない状態だ、
そう反駁したくなりますが、
経営者の仕事は他の仕事とは異質のもの。

経営者だからこそしなければいけない仕事で、
それを無視した、また、忘れた仕事は
仕事と呼ぶに値しない仕事で、
忙しさにまったく意味がない仕事です。

もう一度繰り返します。
あなた一人のビジネスだろうが、
数名でのスモールビジネスであろうが、
あなたは経営者、だからすべてを経営者として受け止め、
経営者として判断、行動していく必要があるのです。

余計なことはしないことです。
それを忘れたり自覚しないで行動してしまうから
無駄に忙しくなります。

このメルマガでも、2002年の第1回目から、
積極的に「経営者」という言葉を駆使しております。

スモールビジネス起業家は、
起業家という抽象的な言葉ではなく、
経営者として自分を認識し、
それなりに振る舞うべき、というテーマを強調するためです。
では、経営者として自分を認識するとは、
いったいどういうことでしょうか。

ビジネスの成功、失敗が、
すべて自分の判断一つで決まってしまう、
そのくらい自分のあり方は重要である、
まずはそれを認識、覚悟することです。

そういう認識があれば、
自分の行動はすべて選択的になっていきます。

それを忘れた姿勢が、忙しい、忙しいに発展します。
あなたの仕事は代理が効かない仕事、
ぜひそれをお忘れなく。
それでは、経営者として無駄な動きを排除し、
効率的に時間を使い、
志やビジョン実現を短縮化するためには、
具体的にはどうしたらよいのでしょうか。

それは、ビジョンを持ち、
それを実現するための戦略を持ち、
実現するための体制を用意し、
仕事を委任し、仕事を見守り、
必要に応じた対策を講じるのに
一連の活動に従事するということになります。
これが経営者の仕事です。

ビジョンがなければ、そのつどつどの都合で動くため、
ビジネスは忙しい思いをします。
売上はあっても収益性の悪いのが通常です。

戦略がなければ、いきあたりばったりの展開で、
結果を出しにくくなります。
もちろん忙しい思いをします。

戦略には、進むべきとき、引くべきときも考慮されている必要があります。
押せ押せどんどんだけではビジネスは簡単に危機に陥ってしまいます。
そういう事態も無駄な忙しさをもたらします。

体制がなければ、皆が一貫した行動を取れないため、
混乱が生じ、結果を発生しにくくなります。
もちろん忙しくなります。

経営者の仕事は仕事の委任です。
自分が首を突っ込むようだと忙しくなります。

仕事はうまくいくかもしれませんが、
おかげでもっと重要な影響があとで出てくることになります。

もし、社員の仕事を奪ってしまったら、
社員は活躍できなくなる、
ぜひそれをお忘れなく。
まとめてみますと、

○志をビジョンに転換、それを明確にし、それを社内に徹底させる

あなたは、すべてのスターターであり、すべての根源です。
なぜこのビジネスなのか、何を達成するつもりなのか、
どうやってそれを達成していくのか、そういう基本軸を持ち、
それを働く仲間に徹底する、
だからこそ個々が自分なりに使命感を持って役割を果たすことができます。

それが徹底していないと、
あなたが出ていく機会が増えることになり、
忙しい目にあうことになります。
創業者が現場にいるビジネスの強みをフルに発揮すべきです。

ビジョンは、ビジネス風潮、文化を築くものです。
そういうものを築きあげるつもりで取り組んでください。

つまり、あなたの動きすべてが社風になりますので、
あなたがビジョンを生きていることが不可欠です。

あなたの仕事への取り組み姿勢、服装、対人態度、物の見方、考え方、
すべてが見本になりますので、そのつもりで動いてください。
○戦略を明確にする

誰を相手に、どういうやり方で、いつまでに、
どのような結果を発生させ、それから次の段階に入る、といった
具体的戦略を用意することです。

この仕事は経営者自身の仕事で、
誰かに任せることはできません。

ただし、ビジョンがない戦略だけの展開では、混乱が常で、
方向性もなく、無駄の多い展開に陥りますので、
気をつけたいものです。

○経営者として自分を律する体制とビジョンやゴール達成のための体制作り

スモールビジネス経営者は、通常100%投資家であり、
ビジネスオーナーであり、経営直接担当最高責任者です。

つまり、自分を監視する上司がいないということになります。
だから、自分を律する体制作りが不可欠です。

ビジョンやゴール達成のための体制作りがもう一つの仕事です。
社員個々の努力に委ねるのではなく、
誰がやってもそういう結果を発生させる、
そのような体制を用意することが、
ビジネスの生産性を高めます。

うまくいく率が増えると、
人は皆やる気が生まれてくるもので、
おかげでビジネスのビジョン、ゴール達成が容易になります。

また、体制がないと無駄が多くなり、
そのぶん忙しい思いをすることになります。

仕事の仕方は、委任、つまり、
ビジョンやゴール達成の使命と権限を各自に委ね、
その権限を与える、そういうやり方になります。

自分一人のときも、経営者の自分が働く自分に
そういうプロセスを経た上で特定の役割を与える習慣が重要です。

一般的には、これは経営者がすべき仕事か、
そういう判断尺度を駆使してから行動する必要があります。
昔、日本のある方は、
アメリカで大成功していたフランチャイズを日本に持ち込みました。
これは日本でも行けそう、そう感じたからです。

しかし、彼は買った段階から日本に合わせた展開を考え、
アメリカの指導を無視しました。

アメリカ側では郊外店舗展開を薦めましたが、
彼は銀座のど真ん中に開店し、
若者向け高級食品として、ハンバーグのイメージ作りに着手したのです。

結果?
大成功でした。

最初に成功し、
その成功体制でビジネスを展開していったのです。

経営者としてすべきことをし、
そして成功を確実なものにしたのです。
ロサンゼルスの一旗会仲間に、
つい最近日本からアメリカに進出した仲間がいます。

彼は日本のビジネスを動かす傍ら
アメリカでのビジネスを立ち上げました。

彼はアメリカでの起業時、
自らスタートする、フランチャイズを買う、
既存ビジネスを買うの選択肢に持ち、
最終的に既存ビジネスを買うことを決断しました。

さらに素晴らしい判断だったことは、
日系企業を買わず、アメリカの会社を買ったことです。

おかげでアメリカ人顧客がついた状態での起業です。
買った瞬間からアメリカ社会への進出を果たしたのです。

そして、その後多くの日本人ビジネス顧客を獲得し、
目下他社との差別化に成功して、
体制作りに成功したおかげで、
ビジネスは短期で軌道に乗っています。
また別の知り合いは、
私のオフィスの隣でテレビ修理業を営んでいましたが、
あるとき、5000スクエアのビルを購入し、
昼間は修理する品物のピックアップと修理済みテレビの配達に専念し、
夕方から夜中にかけて修理をしていました。

夕方からはパートタイマーの修理人を数人雇って
相当台数の修理をしていました。

小さなビジネスが大きな売上と利益を出す体制を
うまく作っていました。
体制作りに関しては、
卸業を展開する人はそれなりに、
小売店を展開する人はそれなりに、
つまり、ビジネス展開する上で、ベストと思える体制を準備することが、
体制作りになります。

体制作りには、システム、仕事フロー、
プロジェクトテーム編成も含みますので、そのつもりで。
スモールビジネスは少人数ですので油断しがちですが、
コミュニケーションの徹底化も重要なテーマです。

ビジョン、志を浸透させ、
個々がビジネスの一員として
その使命実行の権限を与えられていると認識し、
それなりに活動できる体制作りが重要です。

なお、指示に関しては、
指示自体より、指示の内容を把握してもらうことが重要ですので、
そのつもりで。

韓国系の会社では、
会社が毎月全社員に昼食を提供するところがたくさんあります。 共に同じ物を食べながらの話し合いが
コミュニケーションを促進し、結束力を高める働きがあり、
実に見事な投資です。

○準備をしてから取り組む習性を持つ

○人・物・金・ノウハウ・技術等を、
ビジネスのビジョン実現、ゴール達成のために駆使し、
それらに活躍の場を提供する

○ビジネス展開を数字の面から把握する習慣を持つ
ビジョンはモチベーション、起爆剤で、方向を示しますが、
その活動の結果、ビジネスは価値を生み出していかなければいけません。

ビジネスは、利益を出さなければいけません。
活動を通じてビジネスの価値を増大させていかなければいけません。
社会的貢献をしていかなければいけません。

そのためには、数字の監視が不可欠です。
利益を出せないビジネスは存続できず、
まして社会に役に立つ活動などする余力がありません。

手元にあるお金をどう駆使して
さらなる発展を成し遂げるかも経営者の仕事です。

ビジョン実現、ゴール達成へのキーポイントに
投資していく姿勢が不可欠ですので、そのつもりで。
経営者は上記のために時間を費やすべきで、
それ以外はあなたの仕事ではありません。

ビジネス存続に不可欠、最重大なテーマに取り組むのがあなたの仕事で、
代替の効かない仕事をするのがあなたです。

そのあたりを選別せず行動すると、
忙しい目にあうのが当然です。

経営者の時間は経営者として行動する時間。
そして、あなたの判断がビジネスの存亡を決める。
そのあたりをぜひ心しておいてください。

(メルマガ『アメリカ発!「スモールビジネス」成功のセオリー』2015年9月14日発行 Vol.790より)