日々の積み重ねが何をもたらすか。

成功です! 偉業です!

海外に出て大きな仕事を成し遂げる、
そう夢見る人がたくさんいます。

そのとき、同じような仲間が
偉大な仕事を達成したという報道にはエキサイトします。

先日、そういう報道がありました。
次はあなたの番では。

1月23日、横綱白鵬が、名横綱大鵬の32回優勝を更新する、
33回目の優勝を成し遂げました。
実に素晴らしい快挙です。

海外に出てその国で活躍、
それどころかその国で新たな記録を達成したわけですから、
海外でがんばる私たちにとっては実に励みになります。

私は一旗会仲間の書家がNHKで白鵬と一緒に仕事したときの
白鵬の手形とサイン入り色紙をいただいていますが、
今日はその手形をしげしげ眺めました。
大きな夢を海外でつかんだその手を。

モンゴルから来たとき、
どの相撲部屋からも引き受け手がなかったのは、
彼が小さかったからです(63kg)。

やっと引き取ってくれた部屋で、彼は無理しても食べ、
身体づくりにはげみました。

そして、稽古にも精進し、
とうとう平成の大横綱として偉業を達成したのです、外国人として。

元相撲取りのモンゴル人は、
モンゴル人の誇りと、興奮して語っていました。

海外で成功、また、偉業を成し遂げるためには、
その国の人間が成功したり偉業を成し遂げたりするより、
さらに倍増した努力が求められます。
まさに実績だけが頼りの生き方です。

障害の多さはもちろん、人種差別は現実で、
実績を過小評価されるのも現実ですので、
それに負けない強さが必要です。

たとえば、日本のイチロー選手が
10年間年間200安打以上を達成しましたが、
それに対して、彼のヒットは評価できないと
堂々宣言した往年の名打者がいます。

イチローには本塁打や長打が少ないのが理由で、
イチローのバント安打に対して批判していました。

1番打者の役割は塁に出ること、
走者がいれば進塁させること、
また、そのヒットの種類を問わず得点することが
チームに必要なことからすれば、
そういった批判は的はずれなのですが、
アメリカ人打者として認めがたい数字なのかもしれません。

大向こうをうならせるホームランや
長打を醍醐味とするアメリカ野球においては、
バントなどヒットに入らないという批判です。

野球に関しては、
日本のプロ野球は同等の野球としては認められておらず、
ある有名選手によれば、
あれはベースボールではないと主張しています。

そういう意識のアメリカでは、
日米通算での偉業に対しては一顧だにしません。

そういう差別や無用なプレッシャー環境の中で
長くメジャーリーグでがんばっているイチロー選手には頭が下がります。

念のためメジャーリーグに登場した日本人選手を調べたところ、
初のメジャーリーグチャレンジを果たしたのは投手の村上選手(1964)、
次の野茂(1995)が登場するまで31年も月日がかかっています。

初の外野手はイチロー選手(2001)、初の内野手は松井(稼)(2003)、
初の捕手は城島(2006)で、
総勢50人以上の日本のプロ野球選手が
入れ替わり立ち替わりメジャーにチャレンジしていますが、
その大半は途中で日本に帰国し、
現在アメリカでがんばっている選手は少ないようです。

昔引退した有名メジャープロ野球選手に
日本人のメジャーリーグでのチャンスについて聞いたところ、
投手はいいところまでいくのでは、
ただし野手に関してはまだまだとの話でした。

彼は日本でもプレーしたことのある選手で、親日家ですが、
その時点では欲目に見てもそういった見方でした。

そして、その後登場したイチロー選手は
14年たった今でも現役として活躍しているわけですから、
その偉大さがわかります。

まさに日々の精進、つまり力を育成する努力を積み重ねて
結果を出しているからのようです。

実績の出ない選手はすぐお払い箱になるのがアメリカですので、
その中で長期間生き残る力は大したものです。

また、単に実績ばかりではなく、
健康や身体能力の維持も重要なテーマで、
長期間生き残っていられるのは
それをしっかり管理できているからで、
精神力の強さがうかがわれます。

アメリカのスポーツ記者から
野球殿堂入りが期待されているのもうなずけます。

さて、ビジネスに取り組んでいるあなた、
あなたは今どのくらいがんばっていらっしゃいますか。

今を乗り切れば明日があります。
その繰り返しが月日を生み出します。
成長、成功、将来が生まれるのです。

昨日の自分より大きくなっている自分、
そしてビジネス、それの実現、そういう意識で、
日々ビジネスに取り組んでみてください。

今回は焦らず今に生きる経営があなたに何をもたらすか、
そのあたりを考えてみましょう。

ビジネス社会では、右肩上リを達成したいからといっても、
いきなり急上昇することはありません。

車のごとくアクセルを踏めば
すぐ加速できるわけではありません。

日々の積み重ねがあっても、
それに伴い序々にアップするわけでもありません。

いくらがんばっても一定期間は横ばい、
そして、あるときからがんばりの効果が現れ上昇傾向が始まります。

それは日頃の積み重ねと種まきがあればこそ可能になります。
がんばりと結果との間には相当の時間差があるのが通常です。

たとえば、往年の大横綱双葉山は
初期なかなか勝てなかったそうです。

決まり手としてはうっちゃりが多く、
うっちゃりの双葉と呼ばれたそうです。

彼の言葉によると、本番は稽古のごとく、
稽古は本番のごとく、で工夫しながら稽古して、
おかげで身体ができあがり、後の69連勝が可能になったのです。

それでは、ビジネス経営でのがんばり、
日頃の稽古、日頃の精進とは、
具体的にはどういう活動を指すのでしょうか。

一言で言えば、身体で覚える経営です。
現場に出て、取引先、顧客、現地に接し、そこで学び取る経営です。
身体、感覚で学び取っていく経営です。

たとえば、目下港湾ストのおかげで多くの船が沖合で停泊中、
おかげで商品入荷が大幅に遅れています。
すでに1か月以上です。

売れ筋商品の在庫切れはビジネスにとっては致命傷です。
さあ、どうしましょう。

大手から大きな注文があったものの、
それを出荷すると在庫がなくなり、
小さな注文への対応ができなくなります。

注文通り100%出荷するか、
それともどうするか。

大手相手だと支払いが長く、資金的に苦しくなります。
売れば売るほど苦しくなります。
さあ、どう対応しましょう。

大手顧客が自分の競争相手であるサプライヤーによって買収され、
今後は自分たちで商品仕入れを行うとのこと。
100%近いビジネスは彼らとの取引で行っており、
そうなれば倒産は必至。
さあ、どうしましょう。

季節的にビジネスが集中することがあります。
そのときは猫の手も借りたいくらい忙しいのですが、
それが過ぎると暇になります。
そういった時期的な差へどう対応したらいいのでしょうか。

最低賃金のアップに伴い、利幅が少なくなりました。
さあ、どう対応しましょう。

しかも来年1月から最低賃金がさらにアップします。
さあ、どうしましょう。

自分の売れ筋商品の競争相手が登場し、
彼らは類似商品を果敢に宣伝広告し、
積極的に販売活動を展開しだしました。
価格は30%ほど安くしています。
さあ、どうしましょう。

自分のところのセールスマンが競合他社に移籍し、
従来の顧客を回っているため、
お客からの注文が減りだしました。
さあ、どうしましょう。

大手取引相手が破産しました。
売掛金はすべてパー。大損害です。
さあ、どうしましょう。

あるブームが始まりました。
そのブームに便乗するには、
さあ、どうしましょう。

ある大きなイベントの開催(オリンピックなど)が決まりました。
それを契機に自分も飛躍したいのですが、
さあ、どうしましょう。

欠陥商品問題で、ある商品が取り上げられ社会問題化し、
あなたもそれに類似した商品を取り扱っています。
さあ、どうしましょう。

社内の雰囲気が沈んでいます。
皆にやる気を感じられません。
さあ、どうしましょう。

従業間に亀裂が入っているようです。
できる人間が我が物顔に振る舞うため
他の人間が反発している雰囲気です。
さあ、どうしましょう。

自社の商品が取引先、顧客に迷惑をかけたようです。
さあ、どうしましょう。

ビジネスがまったくスロー。
固定費の大きさに苦しんでいます。
さあ、どうしましょう。

ビジネスが不調で、損益分岐点を割りだしました。
手持ち資金はあと3か月以内に底を打ちます。
さあ、どうしましょう。

アメリカ人の考え方、カルチャーがよくわからないため、
どうしてもアメリカ市場に出られません。
さあ、どうしましょう。

雇用にあたりアメリカ人人材の
ビジネス適正を読み取ることができません。
だから自分が求めている展開ができません。
さあ、どうしましょう。

アメリカ社会の仕組み、業界の仕組み、ビジネスの仕組みが
いまひとつ理解できません。
おかげでアメリカの会社だったら利用できたであろう
もろもろの特典、サービスを利用できません。
さあ、どうしましょう。

日々の蓄積とは、こういったできごとを通じて
試行錯誤の末に蓄積されていく知恵であり、ノウハウです。
だから、現場に出なければわからないことになります。

そういう体験が多いほど、事件の種類が多いほど、
あなたの力を試される機会が増えるのです。

そして、それらを乗り越えることにより、
あなたの力は育成されていくことになります。

そして、それらを通じて、それらがあるたびに、
あなたは自分の夢に確実に近づいているということができます。
成功、偉業はその結果でしかないからです。

さて、あなた、そういう意識で
ビジネスに取り組まれたらいかがですか。

ビジネス経営に、嫌なこと、苦手なことから
逃げることがあってはならない、
なぜなら、それは強制的に自分を大きくしてくれるチャンスだから。
ぜひそのことをお忘れなく。

(メルマガ『アメリカ発!「スモールビジネス」成功のセオリー』2015年1月26日発行 Vol.760より)