せっかく手に入れたもの、
従来持っていたものを失ったら、そこで意気消沈、
すべてをあきらめる、それとも、
従来のものよりもっと素晴らしいものを
手にしようと決め、がんばる、
あなたの場合どう反応するのでしょうか。

人は何かを失うと、
それを取り戻そうとしたり、
昔にこだわる習性があります。

しかし、もしかしたらそれは、
新たなものをつかむためのチャンスかもしれません。

昔にこだわらず、今だからこそつかめる
新たなチャンスをつかんでみてください。

先日、ある方から「回復への道」と題するメールをいただきました。
現地では有名なミュージシャンで、
病気になり、再起へのリハビリ状況の報告メールです。

えっ、こんなこともできなくなっているの、
こんなことも苦労しなければいけないの、
それを感じさせるリハビリ報告です。

ストレスの多い闘病状況なのでしょうが、
昔の身体に戻ることよりも、
これをきっかけに新たなチャンスをつかんでくださいと、
激励のメールをお送りしました。

ビジネスに失敗すると、
昔の自分に戻ろうとするものです。

しかし、そうではなく、昔へのこだわりを捨て、
そういう状況を運命的チャンスとしてとらえ、
そういう意識で自分を見直すと、
意外と新たなチャンスを見出せるものです。

もしかしたらそれが新たな運命開拓への
手順、天命なのかもしれません。

先日、2014年、ビジネスはアップダウンの激しい年でしたとの話が、
一旗会仲間からありました。

調子が悪いときは何をしましたかと聞いたところ、
どうしようかと思案していたそうです。

調子が悪いからどうよくしようかと考える代わりに、
忙しさから解放されたチャンスを活かし、
従来とは異なるアプローチを試すのも
チャンス創造になるはずです。

私のところは2013年に比べ、売上は12%アップ、
収益は50%近くアップしました。

これは競争のない商品を開発した結果ですが、
スローな月があったとき、
うちだけの独自な商品でもつくろうという簡単な発想が、
商品開発をもたらし、うまくいった理由です。

かけた判断時間は1秒未満、
試作品作成は1時間、
行けそうかどうかの市場調査は1時間未満、
ちょっと悩む時間を節約、
代わりに行動すると
これだけのことが可能なことがわかります。

ビジネスがスローなとき、
もっと安定した売上をあげるにはどうしたらいいか、
スローな月をなくすにはどうしたらいいかと考えがちですが、
そういう従来型発想を捨て、
こういう浮き沈みのある展開をなくすにはどうしたらいいか、
競争に巻き込まれないようにするには
どうしたらいいか、といった発想で、
競争力、個性がある、差別化できる商品、サービスの開発、
競争力のある展開方法を模索すると、
新たな局面が開けるかもしれません。

問題が発生したとき、
従来と同じように直線的な対応をすると、
しがらみからぬけだせなくなります。

昔こうだったから、夢よもう一度、
失敗したからもう一度再起、
売上が下がったから売上アップに取り組む、
NoといわれたからYesにさせよう、
断られたからYesと言われるまでがんばろう……。

私たちはついそう反応しがちですが、
実のところ、そういう事態発生を
新たなチャンスの到来と捉えると
行動が変わっていくはずです。

努力という言葉、我慢という言葉に
だまされない必要があります。

挫折からの立ち直り、
それはやさしいことではありません。

だから多くの方は楽な道を選びます。
すべてを放棄します。
もしくは、ただ闇雲に従来のやり方を繰り返すことしか考えません。

また、私の周りにもいますが、
不正直な方法により現状を繕う道を選び、
事態は悪化の一方をたどることになります。

知り合いから、返すあてもないのに
金を借りまくり、一時しのぎを繰り返し、
時間の経過とともに被害者を増やし、借金を増やし、
彼らから逃げまわることになります。
こういう方法では決して立ち直れません。

金が不足、だから金を借りるという発想では
事態の解決になりません。

ビジネスの取り組み姿勢を変えてこそ、
可能性も生まれてくるのです。

そういう発想がないと、
いつまでたっても挫折からの立ち直りは不可能になります。

挫折からの再起は、
自分を冷静に見直すチャンスです。

自分が本当にやりたいことは、
これまでやってきたことか、
それとも他のことなのか、
忙しさから一時離れ、
冷静に自分の人生を見直すベストなタイミングです。

面白いことに、こういうとき、
従来考えもしなかったようなチャンスに出会えるものです。

挫折からの立ち直りとは、自分を変える行為です。
他人に人生を変えてもらうことはできません。
だから、自分なりに決める必要があります。
次の方向は何かを。

しかし、多くの方はそういう視点に気づかず、
昔へのこだわりにとらわれ、
ついには昔への復帰もままならない人生を
たどる運命になってしまいます。

挫折とは焦りのときです。
焦るから冷静さを失います。
冷静な判断力を失います。

焦りは無謀な行動に走らせます。
その行動は考えた上の行動でも、
行動しながら考えようという意識を持った行動でもなく、
行動のための行動ですので、
うまくいくことはまれです。

焦るとは可能性を信じられないときです。
どうしよう、このままでは大変なことになる、
そういう思いが強く、
しめた、この挫折は運命が自分に
新たなチャンスを提供するために設けてくれたのだ、
今度はもっと大きな仕事に取り組めるぞとか、
楽観的な希望を抱く人はまれです。
人生の再スタートなどと思う余裕などないのが現実です。

だから、このとき、意識的、強制的に、
これはチャンスの前兆、
そう自分なりに思い込む姿勢が重要です。

挫折したときは、どんな小さな結果でも、
結果を出すことが勢いを生み出します。
事態からの脱出を実現します。

多くの方は焦りで大きな逆転を狙い勝ちです。
そうではなく、確実な一歩こそが現状を打破するキー、
そう決め、まず一歩を踏み出す、
その一点に的を絞り、自分の可能性との兼ね合いで、
脱出口を模索してみてください。

自分のできそうなこと、
それができることなのです。

チャレンジ心は、
プレッシャーが大きいから生まれるときもありますが、
自分の内から湧き出す肯定的な力でない限り、
発揮できない力です。

これをチャンスとして活かし、
なりたい自分になる、
成し遂げたい仕事を達成する、
そのようなパッションの湧き上がる仕事こそ、
本物のチャレンジです。
焦らずそれに遭遇するまで待ちましょう。

昔の自分は、挫折したから昔がよく見えるだけで、
実際は神様がもっているあなたの人生シナリオによれば、
もっと素晴らしい仕事が達成できることになっています。

そのシナリオを読んでいないから、
今までの一番ベストが
自分のベストだと思い込んでしまうことになります。

もし、あなたがそのシナリオを見たならば、
きっと、ここであなたが挫折する、苦しむ、
しかし、次の場面で素晴らしいアイデアが生まれ、
あなたは従来より偉大な仕事を成し遂げる、
そういう筋書きになっているかもしれません。

そうです、あなたはそのシナリオを見ていないから、
迷っているだけの話なのです。

私の知り合いは酒好きで、
それが災いして糖尿病を患い、
とうとう両足切断の憂き目にあいました。
40代のことです。

車いすを利用しており、
健康には気をつけなければいけなかったのですが、
先行きに絶望した彼は、
従来通り好きな酒を煽り続け、
50代で若死にしました。

今さらやめたところでどうなるものでも、
そういう意識にとらわれた悲劇でした。
挫折に負けたケースでした。

ある一旗会仲間はガンに侵され、
そこで命の大切さ、自分の人生の将来を考えるようになり、
そこから新たな人生を開始し、
ガンを克服したばかりか、
今では寿司学校経営者として元気に活躍しています。

予期せぬ逆境に直面したとき、
人はうろたえます。
冷静さを失います。
わらをもつかむ気持ちであがきます。

しかし、もしそのとき、
自分にとって新たなチャンスが訪れた、
そう信じることができるならば、
見えるものが違ってくるのではないでしょうか。

不可能とは、本人が不可能と信じ込んだとき、
やはり不可能になります。

しかし、もしそのとき、できることは何か、
そういった視点で事態を眺めると、
できることが次々と見え出し、
不可能は可能、それどころか、
それを不可能と信じ込んだ自分を信じられなくなるはずです。

こんなことは自分一人の力ではどうにもならない、
そう信じ込んだとき、
やはりどうすることもできなくなります。
自分は非力、無力、そう感じてしまうものです。

しかし、もしそのとき、
個人個人の力の集積が何をもたらすか、
それを信じることができれば、
未来は開けていくはずです。

昔できたことは、必ずしもあなたができた
ベストの仕事とはかぎりません。

ベストはいまだ未達成、
それを信じることができるならば、
従来のやり方、あり方にこだわらず、
新たな発想や視点で新たな未来開拓が可能になるのです。

昔にこだわる限り、昔以上の自分にはなれない、
ぜひ心してください。

さて、今挫折の最中のあなた。
もうどうしていいのか皆目わからなくなっているあなた。
昔の自分にこだわり、執念を燃やすあなた。

あなたが目指しているのは、昔の自分、状態ではなく、
新たな未来。
目標は決して低くもたないでください。

あなたは、今まで自分が成し遂げるであろうベストな仕事を、
本当に達成したことがあるのでしょうか。

(メルマガ『アメリカ発!「スモールビジネス」成功のセオリー』2015年1月12日発行 Vol.758より)