●あなたの経営は具体的な形になっていますか?

言葉は形にすることができます。
思いは形にすることができます。
決意は形にすることができます。

もし、ビジネスに何ら形がないとすれば、
それは思いや決意がないから、
形ができあがるほど強いものでないから、
そういうことになります。

絶対に成功するのだと決意したなら、
それを形にできるのです。
その形が成功を推進するのです。
だから、経営ビジョン・志を形にすることが重要になります。

起業して成功したい、
どうしたらよいでしょうか。

その志を心に決め、
すぐに行動することです。

何をしたら?
自分がやりたいことにチャレンジすることです。

どういうやり方で?
自分なりに思いついた方法で結構です。

まずは自分なりにとことんやってみることです。
行動こそがその人の思いや決意を形にしているのです。

すると、行動の最中、自分なりのやり方が見つかり、
それを象徴する形ができあがっていくものです。

その過程で、これは行けそう、
そういう感触を持てるようになり、
ここぞの勝負どころが見えてきて、
おかげでますますやる気が湧き、
力も育成されていくことになります。

それでは、なぜ形が重要なのでしょうか。

自分自身にとっては、
自分の志を常に思い起こさせる力になるからで、
他の人にとっては、志を感じさせる、行くべき方向を感じさせ、
成長・飛躍意欲を感じさせるからです。

また、あなたの思いを具現化したものとして、
共鳴者・同調者・協力者・市場・顧客を呼びこむ力になるからです。

形は、意識的・計画的・自然発生的につくりあげられていきます。
社風・伝統・個性・ユニークさという言葉で表現されるのがこれです。

成功したい、そういう思いで、
多くの方はビジネスに取り組みます。

しかし、大半の方は最初だけ燃え、
いつの間にか初期の熱意を失い、
ビジネスもそれに比例して停滞していくようです。

なぜなら、ビジネス成功の要、
本人のやる気、情熱を形にしていないからです。

形がないから、初期の志をいつまでも継続させるための
モチベーションの維持が難しくなるのです。

あなたの思いは、どうしても成功するのだ、
そのように強いものでしょうか。

もしそうなら、
その思いをどういう形にしているのでしょうか。

形にすれば、目視することが可能になり、
それが志を思い起こさせ、
結果として情熱を継続することができ、
そのぶん成功度が高まります。

人間は熱しやすく冷めやすい、
そういう事実に対する対策が重要です。

ビジネスに、成功する絶対的秘訣、
そういうものはありません。

実のところ、成功したければ、勝負どころを見極め、
成功するまでやり続ける、
それ以外に答えはありません。
行動、行動、まさに行動あるのみです。

やり方は人それぞれで、
自分にあったやり方を見つけ、
それで成功するまでやり続けた人が成功するのです。

ビジネスは長勝負、
だからこそモチベーションを高揚させ、
持続させる工夫が不可欠です。

20人未満のスモールビジネスにおける成功の目安としては、
まずは年商1億円、それを通過して10億円、
そして後は運・器・力量でさらなる上にチャレンジしてみてください。

多くの成功者は、一定期間やみくもに突っ走り、
業績と数字に関心を示しだすのは
6か月を過ぎたころからになるようです。
この期間は思いだけで突っ走っているようです。

6か月を過ぎたころから、
はじめて目標なり行動計画が明確化されるようです。

ある一定の目標を立て、
それをどうやって達成していくか、それを決め、
決めたら、後はただひたすら行動、
そういう習性が、このころから育成されるようです。

そして、その後は、具体的形(数字・計画など)がガイドになり、
後はそれの実現を確信しての行動、
だから結果が出るようです。

つまり、具体的ゴールや行動計画の明確化が、
成功意欲集中化を促進します。
これも一つの形です。

漢字の“志”は、「心のゆくところ」という意味だそうで、
最初の6か月はまさにがむしゃらな行動を実践できた人が
結果を生み出します。

“思(い)”という字は心が脳に入るということで、
一時の感情だけではなく、
それがもう少し冷静になった状態のようで、
まさに6か月後に当てはまるようです。

志で突っ走り、
思いを抱いて成功を目指すことになりそうです。

今回は経営に成功する具体的形について考えてみましょう。

1. 対経営姿勢の形
2. 対従業員姿勢の形
3. 対顧客・市場の形

1. 対経営姿勢の形

成功者を見ていると、ともかく行動家です。
その行動力が周りを巻き込み、
成功を実現しているように見えます。

アイデア=即行動が特徴です。
行動、それが成功する経営者の形です。

自分なりに行けそうだという感触をつかむまで行動し、
それをつかんで、これは行けるという確信に動かされ、
だからこそどんどん行動していきます。

彼らは成功でたくわえたお金を
成功を拡大することに集中します。

そうするのは、行動の中で得た感触から、
どこが自分の将来を産み出す場所かを感じ取ったからのようです。

たとえば、ある韓国人は、ガレージに商品を在庫し、
スワップミートでアメリカンドリームに取り組んでいました。

成功しても、家や車やオフィスに金をかけず、
どんどん売れ筋商品を買いこんでいました。
金を産む場所に金をかけたのです。

しかし、ある時点から急激に在庫量が多くなったので、
「スワップミートで相当成功しているようですね」と声をかけたところ、
「いや、今度はスワップーミートに参加する連中に
商品を卸すことにしました」とのこと。

自分の成功が、次のレベルのビジネスチャンスを気づかせ、
彼はさっさとその分野に軸足を移したのです。

行動していたからこそ気づいたビジネスチャンスで、
在庫量が急激に増えたという形が、
彼のやる気をますます発奮させていました。

しかし、この段階でも、
従来通り自宅のガレージからのビジネス展開でした。

初期はガレージの一角、
そのうちどんどん商品スペースが大きくなり、
しまいにはガレージ全体、かつ天井に届くほどの商品量で、
大きなスペースに入ったらそれほどの印象にならなかったでしょうが、
車2台分のガレージではグングン伸びている印象があり、
彼はそれを見てますますやる気を刺激されていたようです。

形が彼の志に火を炊きつけていたようです。
はたから見ていると、実に堅実なビジネスという印象を受けました。

ある中国人取引業者は、ロサンゼルス近くで
3千スクエアフィートの倉庫を借りて卸業を営んでいました。

しかし、ある時点で彼は郊外に移転、
3万スクエアフィート近くの倉庫に移りました。

それまではローカルのビジネス相手でしたので、
取引や運送の関係で都心に近いほうが都合がよかったのですが、
ナショナルチェーンのお客を獲得した段階で、
郊外の大きなスペースに移り、
在庫量も比較にならないほど増えました。

大きなスペース、大量の在庫、
自分は全米チェーンを相手に
ビジネスを展開しているのだという意識を形にしたのです。

なのに全従業員は5人。
目下大成功しています。

ある韓国人はスワップミートで金儲けしました。
彼が他人と違っていたのは、
儲かったお金で大きなトタン作り倉庫2つを持つ大きな敷地を借り、
そこでスワップミートビジネスを開始しました。
屋外・屋内のスワップミートを開催するのが目的です。

そして、スワップミートに参加する人をあちらこちらでリクルート、
場所代で収益を得るほか、
倉庫では彼らが必要とするテント・パイプ・バンジーコードを販売し、
スワップミート業者の応援をしています。

参加者が増えていく現実が、
一つの形として彼の夢を刺激しているようです。
目下4人でがんばっています。

ある韓国人はスーパーマーケットをオープンすることにしました。
そして、絶対成功するのだという意思表示のため、
従来成功している最大手韓国スーパーマーケットの通り向かいに
小さなスペースの店を構えたのです。

人は、それではすぐ潰れるだけだと心配しましたが、
彼は絶対成功するためにそうしたのだと周りに説明し、
彼なりの形をつくったのです。

大手は大きなスペースと駐車場を持ち商品豊富、
陳列は天井まで積み上げられていましたが、
いかんせん昔タイプの積み上げるタイプのスーパー。

一方、彼の店はひと目で店内を見渡せるように陳列棚を低くし、
明るい、モダンな雰囲気の店にしました。

他の場所に出店したのであれば、
誰もその店には注目しなかったか、
相当の宣伝費をかけざるをえなかったはずですが、
最大手の通り向かいという場所選定は皆の注目を浴び、
同時にその違いがあまりにも鮮明なため、
多くのお客が彼の店に興味を示し、客の移動が始まり、
彼の店はどんどん繁盛、
しまいには大手アメリカのスーパーの敷地跡に
2店目を出すまでに成功しました。

従来の大手は彼の出店がきっかけで消滅し、
業種変更、ついには倒産してしまいました。

絶対成功するのだという志を、
場所の選定、大手との違いを明確にした店舗つくり、
そういった経営者の思いを
明確な形にしたおかげで成功したケースでした。
形が人を引き寄せたのです。

なお、それなら形を先につくれば
実体をつくれるのでは、と考えがちですが、
形は実体があるから自然にできあがっていき、
そのできあがった形がますます実体創造の力になるのであり、
そういう関係を持たない形だけではダメだということをお忘れなく。

2. 対従業員姿勢の形

経営姿勢が形になれば、
皆に会社の方針・方向性を明確に提示できます。
おかげで従業員にやる気が生まれます。

しかし、もう一歩踏み込んで、
会社は夢のある仕事に取り組んでいるという姿勢を形にすると、
皆が燃えて仕事するようになります。

よくあるケースは、
売り上げ○○万円を達成したら特別ボーナスの支給、
もしくは、○○億円を達成したら大きな場所に移転しよう、
○○を達成したら全社員旅行をしよう、といった、
目視できる形の提示です。

夢の持てる仕事、それを一つの形で提示することにより、
皆を鼓舞できるのです。

3. 対顧客・市場の形

ビジネスは、いろいろな機会を捉え、
市場や顧客に自分たちの将来を宣言・約束します。

それが、彼らの期待や夢を拡大し、
協力関係を築きます。

しかし、そんな大きなことでなくても、
ビジネスは自分の主張を形にするチャンスはいくらでもあります。

たとえば、顧客主義というと漠然としていますが、
先日具体例に遭遇しました。

ショッピングモールに出かけたところ、
一部が停電していました。

ところが、停電したお店の前にお客が列に並んで、
電気のつくのを待っていました。

何の店かと思って覗いてみると、
有名アパレルの店です。

かなりの人が、すぐにつくだろうということで、
列にならんでいました。

すると、中から人が出てきて、
「皆さん、電気がつくまで階上のコーヒーショップで
コーヒーでも召し上がりながらお待ちください」と、
列に並ぶ人々にコーヒー券を手渡しはじめました。

階上のコーヒー店と交渉して、コーヒー券を用意させ、
戻ってきて皆に渡したわけですから、
並んでいた人も相当待っていたはずです。
実に見事な対応でした。
顧客主義を形で示した例になります。

ある日系ラーメン店は、行列のできる店として有名ですが、
列に長く並んでいる人が
トイレに行きたくても店内のトイレを使わせず、
寒くても何ら手をうちません。

口先だけの「お客様は神様」、
これではお客を忘れた展開で、
先が見えた気がします。

さて、あなたのビジネスは、
経営思想・意欲を反映した形をお持ちでしょうか。

人は言葉や宣伝ではなく、
その実態からあなたを判断し、まさに言行一致をチェック、
そして、はじめてあなたのビジネスを信頼するのです。
あなたの熱意・情熱・本気度を知るのです。

あなたのビジネスは、
顧客や市場のそういった厳しい視線に
堂々パスするだけの形ができあがっているのでしょうか。

消費者や市場は、ブランドやPRに操られず、
ビジネスの実体に注視している、
だから、あなたはあなたの思いを示す形を生み出し、
提示する必要がある、
ぜひそれをお忘れなく。

(メルマガ『アメリカ発!「スモールビジネス」成功のセオリー』2015年8月31日発行 Vol.789より)