大手術の後、患者の生死を分けるのは
患者自身の生命力だそうです。

生きようとする人は生き、
あきらめた人は生きれない、
人間、最終的には自分の意思で
人生が決まるということが言えそうです。

他人に依存して生きるか、
自分で自分の人生を切り開くかの選択肢は
誰にでも与えられています。

他人に依存すればすべてが楽です。
強いて苦労する必要もなく、考える必要もなく、
不満があれば文句を言えばいいだけの話。

しかし、自分ですべてを切り開く選択肢は、
常に苦労の連続、考えることは日常の必須事項、
誰に文句を言うこともできません。

でも、その苦労は、エキサイト、希望との道連れ、
常に明るい先が見えての苦労。

それが起業の苦労であり、
気づかないうちに自分の力がついていく楽しみになります。
生きるとは成長、成熟、そういうことのようです。

海外から見る近年の日本は、
昔のような活気を失っている感じです。

このような日本衰退の原因は、
企業があまりにも他人依存経営に陥ったから、
そう感じます。

大手依存の下請け姿勢、官の後ろ盾経営、
利害関係社同士の相互依存を目的にした株持ち合い体制、
補助金目当て経営、情実がまかり通る経営、
これでは自主、独立、創造とは縁遠い経営になります。

依存心が強ければ、
自分で何とかしようとする気迫を失います。

すると、潜在可能性の引き出し行為が機能しなくなり、
そのぶん、自分では何も対応できない経営に陥ります。

官は規則、補助金、指導、特例等で企業の保護を行い、
おかげで企業自体の活性化が行われなくななります。

また、保護政策はダメな企業まで救済することになり、
社会的活性化が遅滞し、
そのつけを国民が支払うという結果になります。

自由競争が阻害されると、
そのつけを国民が支払うことになります。

利害関係者同士が
相互依存関係維持のために株を持ちあう体制は、
ものを言わぬ株主の誕生で、
企業の生命力、成長力の足を引っ張ります。

契約書がありながら、約束事が簡単に変更できる、
これでは約束事を必ず実行する気概が失われます。
そのぶん責任感も失われます。
情実の恐ろしさです。

お互い困ったときは助けあうということでしょうが、
これは国際的競争には通用しませんし、勝てません。

目下、日本の大手家具会社で、
会長と社長の間で経営をめぐる争いが発生していますが、
日米の会社のあり方をめぐる争いと思える部分もあり、
その成り行きが注目されます。

創業者である父は、会社を守りたい、伸ばしたいの経営者気質が強く、
彼に対抗する娘は、
会社を時代に則したものにしたいと思っての戦いのようですが、
父の壁が大きく、どうにもできず、
そこで、その父に対抗するため、
投資ファンドの誘いに乗ってしまったところが問題になりそうです。

アメリカでは会社の持ち主は株主、
その株主の信任を受けて取締役会が会社運営を監視し、
その取締役会の代表が会社経営の任に当たり、
その人物が経営の役割を担う人間、執行役を任命して、
その彼の行動をチェックするのが取締役会になります。

各役員は機能職であり、身分や地位ではありません。
取締役会は監視機能ですので、
株主である必要はなく、社外関係者が多く就任するものです。

執行役は株主でも取締役ではなく、
仕事を遂行する専門家であり、
彼らは自分の仕事ぶりについて、
取締役会に報告する義務があることになります。

執行役というと、偉い役職に見えますが、
これは社長、部長、課長、平社員といった地位ではなく、
実のところ、特定分野の仕事を遂行する専門家で、
必ずしも取締役会のメンバーではありません。

しかし、日本では、会社は株主のものではなく、
会社そのもののものという概念が大半で、
株主の存在は軽視されることになります。

まして、株の持ち合いが現実の社会にあっては、
当事者利益が損なわれない限り、
株主はあまり難しいことを言わないことになります。

会社の成長が皆の関心事になり、
そこでは長期的観点からの経営が行われ、
目先の儲けにこだわらない成長作戦が容認されます。

配当を目論んで投資しているアメリカ的株主利害とは
もろに衝突することになります。

そして、この関係をいっそう難しくしているのが、
いわゆる短期高配当を目論む投資専門グループ会社である
投資ファンドのからみです。

彼らの目的は、短期最大投資リターンの獲得ですので、
会社の将来より、投資に対する短期高リターンだけが目的です。
会社の存続、将来などどうでもいいことになります。

彼らは配当を高めるために、問題、儲けネタを有する会社を模索し、
それに投資して、その問題、ネタをうまく利用して投資利益を得ます。
今回のようにお家騒動会社は格好の餌になります。

きっと、今回投資ファンドは十分な利益を得て近々バイバイ、
結局損をするのは自分の思惑を通したい彼らと組んだ経営者、
そして、会社自体になるような気がします。

スモールビジネスの場合、自分がほぼ100%出資者、
すなわちオーナーであり、同時に経営者で、
ビジネスの目的や将来に最も真摯な存在ですので、
投資の受け入れには十分気をつけることをおすすめします。

株式上場が夢というのが一般的ですが、
上場により一財産つくることを目指すか、
自分のビジョンやミッション達成を目指すかは人それぞれです。

経営権を失えば、自分の夢の実現は難しくなる、
そのことだけは頭に置いておいてください。

経営権を失えば、ビジネスの生命力と競争力を失う、
それどころか、あなたは経営者としての地位を追われる、
ぜひお忘れなく。

私が昔いた日本の外資系会社は地味な会社でしたが、
日本ばかりか極東を制覇する業界トップ会社でした。

しかし、私が辞職した後まもなく、
金になることを嗅ぎつけた投資ファンドにより食い荒らされ、
いいように利用された挙句ポイされ、
今やほそぼそと存在するのがやっとのようです。

表面資産価値より実質資産価値が
はるかに大きいことを見つけた投資ファンドが
食らいついてきたケースです。

一時のお金に目がくらみ、投資を受け入れ、
代わりに経営権を乗っ取られ、
挙句の果てには会社を商品のごとく扱われ、
最終的には株を高値で買い取らせ、ハイさようなら。

その時点では、そのビジネスを切り盛りできる経営者が不在状態ですので、
会社は消滅への道へ突っ走ることになります。

スモールビジネスは、大手企業が享受する
多くの特典を受けられない存在です。

おかげで自主独立創造気概が生まれ、
そのぶん思いきった展開ができて、
社会の活性化にも寄与できることになります。

アメリカの場合、20人未満の企業数が全企業数の90%を占めており、
日本でもそれと同じくらいの割合ですので、
社会の活性化はまさにスモールビジネスの独壇場ということになります。

他人に依存しない、そういう気概こそ、
経済活性化の起爆剤です。

今回は、独立心について考えてみましょう。

独立心とは、他人の影響やコントロールに縛られない、ということです。
より具体的には、自己管理のできる生き方、目的意識を持った生き方、
自己に自信を持ち、自己に依存する生き方になります。

つまり、自分らしさを表に出した生き方、
従来の物や考え方だけに慣らされない生き方、
それを具現化する生き方を指します。

赤ちゃんを見ていると、
ハイハイから、ある日一人で立ち上がり、一人で歩くようになります。
まさに独り立ち、独立です。

また、小さな子供は、特別なおもちゃを与えなくても、
手元にあるすべてをおもちゃにする力があります。

独立心とは、まさに自由奔放な発想を生み出す生き方であり、
それを楽しむ姿勢です。

その楽しみが、さらなる工夫や楽しみを生み出し、
その好循環により、人間の可能性がドンドン引き出される生き方になります。

すると、独立心を確保しようと思えば、
独立する、独立を得るために戦う、
そういう自然な流れが始まります。

起業するには資金がない、
起業したいが何をしたらいいかわからない、
起業したいが自信がない、という人は、
独立心がないから、そう言うのです。

一言で言えば、起業とは独立心の具現化です。
独立心は金儲けには関係のない話で、
金儲けは独立心とは関係ありません。
その違いが起業における対応姿勢、経営姿勢、行動力に差をもたらします。

人は生まれつき独立心を持っているようですが、
時間の経過に伴い、社会に順応するように仕向けられ、
いつの間にか独立心を失うようです。

何事があってもそれを失わない人は、
やはりそれなりのDNAを親から引き継いでいるのかもしれません。
また、眠った独立心は周りの感化により芽吹くようです。

よくある「独立しましょう」の掛け声で独立しても、
本来の独立心が生まれるわけではなく、
多くの方は一時的感情の高まりから起業します。

しかし、アルバイトやネットワークビジネス程度の
うまくいっている間だけ独立活動をするといったレベルに終わります。
独立心を持たない行動には力がないようです。

私の場合、子供時代から独立心が強く、
小学生時代から起業家の活動を繰り返していましたが、
これは親からのDNAのおかげのようで、感謝しております。

独立心とは、他人にすがらない生き方ということであって、
他人を模範とすることを否定するものではありません。

独立心旺盛な人にとって、
成功している人の日常は彼らの模範となり、
いい刺激や学びになります。
そして、そういうチャンスを活かすのが独立心旺盛な人々です。

つまり、独立心旺盛な人は、向上心が旺盛で、
ことあるごとに学び取ります。

独立心にとって重要なことはアチーブ、すなわち達成意識です。
自分の存在を社会的に意味ある、価値あるものにする
ビジョンやミッションを持ち、
それを達成することに命を賭けます。

その真剣な取り組み姿勢があればこそ、
難業も達成されることになります。

独立心旺盛な人にとってのご褒美、
それは彼の活動に感謝する人々が出てくることであり、彼らの喜びです。

最近、ある大手IT企業の経営者が、
自分の孫の教育費分を差し引いた
巨額の全財産を寄付する声明を出しました。

達成感に比べれば金にはたいした意味がない、
だから、その金が意味を持つことに使ってもらいたい、
そういういう気持ちのようです。

独立心は生命力を高めます。
早い話、長生きの源です。

先日、食べに行った、私の好きな寿司屋の奥さんは目下81歳、
元気に店内を歩き回りながら、ウェイトレスをしながら、
お客のおもてなしに忙しくしていました。

肌もつやつや、シワなしのお顔、
何かに燃えているとはそういうものです。

私のお世話になった方たちは86歳、99歳まだ現役経営者でした。
自分が自分の人生の主人公になると、
生命力に大きな影響を与えるようです。

私のお袋は現在92歳。
80歳近くまで現役の経営者でした。

終戦直後、女手一つで二人の子供を抱え、
家族や親戚の猛反対を振り切り、鹿児島から東京に出て働き続け、
裸一貫から起業、長年実業家として活動しました。

92歳の今も相変わらず元気で、頭もシャープ。
子どもとしては、自分もこうなるDNAがあると、喜んでおります。

独立心旺盛で元気な経営者は、ビジネスに活気を生み出し、
おかげでビジネスに勢いをもたらす、
それが独立心のもたらす結果、そういう気がします。

さて、目下経営者として活動するあなた。
あなたは自分の持つ独立心に、
どのようなはけ口を提供しているのでしょうか。

お忘れなく、独立心はすべてを生み出し、
不可能を可能にする力の根源。

初心に立ち戻り、独立心に新たな勢いを与えませんか。

(メルマガ『アメリカ発!「スモールビジネス」成功のセオリー』2015年3月31日発行 Vol.769より)