あなたは取引相手にしたい相手に
どういうアプローチをかけていますか。

お客になってくれた人を固定客にするため、
どういうアプローチをかけていますか。

スモールビジネスは、資金不足を汗でカバーできます。
汗とは露出(exposure エクスポージャー)、
つまりまめに自分をさらけ出す活動、現場に出る活動、
相手に接する活動を通じて相手に自分を知ってもらう活動、
自分をひいきにしてもらう活動です。

別の見方をすれば、
法律問題における証拠に通じる考えで、
見て確認できる信ぴょう性、確信、客観性の問題にも通じます。

今やIT利用の上手下手が、
ビジネスの盛衰に大きな影響を与える時代になりました。

中国のモバイル端末メーカーは、
広告費を1円も使わず交流サイトだけでマーケティングを展開し、
アップルやサムソンを抜いて中国トップに躍り出たそうです。

そこでネコもしゃくしもいろいろ工夫して、
ネットでのアピールに力を入れています。

あちらこちらにリンクを張り巡らす
ネームドロッピングに力を注ぐようです。

最近はモバイルフォン対策を考えないマーケティングは
ありえなくなりました。

従来とは異なり情報端末機を持ち歩いているわけですが、
その検索にすぐに対応、かつ、
自社名が優先的に表示されるためのSEO対策が普及し、
近くの店探しをしたり、
店に出かける前に予約をとったり注文したりできるようになり、
そういった動きに対応できるビジネスだけが成長する時代になりました。

歩きながらの情報検索、
そのニーズにどう答えるかが勝負になっています。

しかし、利用したことのないビジネスへのアクセスは
あくまでも臨時的なもので、
実際の利用者は固定客が中心というパターンが多いようです。

インターネット、モバイル携帯の普及、
それらへの依存の高まり、
おかげでもっと重要なことを忘れている
スモールビジネスが多いようです。

その重要な課題とはビジネスの露出です。
露出とはさらけ出す、つまり自分の人となり、
自分のビジネスの実体を知ってもらい、
ファンづくりを実行し、
ビジネスの集客力を高める活動になります。

検索の中から得られる一つではなく、
自分が知っているから利用するビジネス、
そういうつながりの提供です。

100の広告よりも1回でも人前に出る、
そちらのほうが信頼度をもとにした集客を実践できます。

100回の電話より、実際に直接会う、
そちらのほうが印象が強くなります。

大手小売チェーンのバイヤーは、
トレードショーに出かけ、全体の雰囲気や流れを把握し、
その上で、これはと思う商品買い付けを実施します。
その会場での露出があってこそ可能です。

サプライヤーが売り込みをかけるときは、
アポをとって担当バイヤーに会ってこそ
売り込みも可能になります。
露出が不可欠です。

露出の重要性は、顧客に、
商品やサービスを彼らの目で直接確認してもらえるチャンス、
自分は一度会ったことがあるという親近感、
自分で確認したという安心感を与え、
どっちみち頼むのであれば彼にという、
判断をもたらしやすくなります。

ビジネス展開においては
あちらこちらで露出していると、
それが競争力を高めます。

店舗数が多いということは
それだけ競争が有利になるということです。

代理店制よりフランチャイズ制が好まれるのは、
同一ブランドの拡散により露出が高まるからです。

ビジネス社会においては、
この露出の持つ重要性が問われる動きが始まっています。
オンラインビジネスと店舗ビジネスの戦いがそれです。

目下オンラインビジネスは大盛況で、
アマゾンは驚異的成長をとげていますが、
大手小売チェーン側も、
従来の店舗展開販売だけからオンラインビジネスにも着手し、
既存店をピックアップポイントとして
駆使する展開を開始しています。

多くのオンラインビジネスは1箇所からの発送、
一方大手オンラインビジネスでは配送センターを設立し、
最寄りの配送センターから発送する仕組みになっています。

しかし、それはあくまでも配送センターで、
消費者が目にする形になっているわけでも、
消費者が立ち寄る体制にもなっていません。

既存店はまさに消費者が立ち寄れる場、
商品を手にとって選べる場所です。

そして、オンラインで注文した商品を、
最寄りの店舗でピックアップできる体制になっています。

オンラインだけのビジネスに比べ、
圧倒的に多いピックアップ場所、
つまり露出の圧倒的多さにより、
勢力は逆転する可能性が強いはずです。

オンラインビジネスサイドは、既存コンビニ等と提携し、
ピックアップ場所を確保しようとしていますが、
それはもろにコストアップにつながり、
競争力の低下につながります。
第三者依存の展開は、思いきった展開を困難にします。

オンライン会社の弱点は、
常に第三者である配送会社(郵便局・UPS・フェデックス等)に、
納品を依存しているという点です。

その配送料がアップすれば、収益性が損なわれたり、
無料配送を実現するためには、最低購入金額を設定せざるをえず、
そのぶん消費者の消費活動に障害をもたらすことになります。

また、配送料金を消費者に転嫁すれば、
店舗ビジネスに対する競争力は激減します。

まして、そういった配送会社にストライキでも起きれば、
その損害は莫大なものになります。

では、自分で配送会社を設立したら、ということになりますが、
そこまですれば販売コストアップは必然です。

消費者の購買活動に関しては、
買ったものが不良品、だから返金してもらいたい、
買った商品のサイズ、色などが買った目的にマッチしないので
商品を交換してもらいたい、
買った商品の使い方がよくわからないので説明してもらいたい、
前に買った商品のパーツが壊れたのでそのパーツが欲しい、
すでに取り扱い中止になった商品の消耗品が欲しい、
そういったときの相談は、直接会って説明できる場所のほうが、
電話やメールによる相談より安心して相談できます。
店舗ビジネスサイドが強みをいかんなく発揮できるポイントです。

そういった消費者心理に合致した展開により
店舗展開ビジネスのほうが、
集客力、信頼性、安心感を付与します。

宣伝広告、ソーシャルネットワークは、
擬似親近感、擬似コネクションをもたらしますが、
いざとなったとき、選択肢にはなりにくいものです。

たとえば、車の調子がいまいちでうまく加速ができません。
ボッタクリが多い業界ですので、
何を言われてもそうですかで修理せざるをえないお客としては
誰に修理を頼むか悩みます。

法律的問題が起こりました。
電話帳を見ると無数の弁護士がいます。
しかし、誰がその問題の専門家かわかりません。
また、いくら請求されるかわからないので、
その選択に悩みます。

このような場合、大方の人がすることは、
電話帳、新聞雑誌広告、ネットで調べるより、
まずは自分の知り合いにおすすめを確かめます。

またはそういうことに詳しい人に問い合わせをします。
または今まで会ったことのあるその道の専門家に連絡し、
その人を通じてその特定の仕事の専門家につないでもらいます。

つまり、ネームドロッピング活動は、
時間やお金の投資の割に、
結果を出しにくいということがわかります。

一度でも会ったことがあるという事実が、
突破口になることが多いようです。

町おこしセミナーに参加した人から、
講師をお願いしたスピーカーの
連絡先を聞かれることがよくありますが、
実はそういった露出があったからこそ、
第一選択肢になっているようです。

また、人の習性として、
自分で見て確かめたという意識が、安心感につながり、
わけのわからない名前の羅列の中の人物より、
露出により会ったことがある人に対する安心感が募るようです。

だから、フィジカルに自分を露出したほうが、
確実に集客力を高めることができると言えます。

大手企業はよく宣伝広告をかけますが、
できあがったビジネスイメージと、
ビジネスオペレーション拠点の多さが、
露出を補助するため結果を出せるようです。

私の弁当宅配ビジネスにおいても、
露出の強みや好みが顕著です。
私たちは毎日翌日の5-8種類の日替わりメニューを
お客様に配信し、それにより注文を受けていますが、
最近では見て選ぶ側が圧倒的に多く、
確認してから注文するタイプの多いことがわかっています。

ともかく来社してくれ、
見て選ぶからという要望が圧倒的です。

仕事のスケジュールが不明確なため、
前日に注文できないといった理由もありますが、
弁当に関しては、実際にそのメニューがどんな弁当なのか、
見て決めたいという希望が強いからのようです。
まさに露出ビジネスになっております。

ただし、露出はその期待と約束を上回るだけの、
商品、サービスを提供できることが条件になりますので、
そのつもりで取り組んでください。

すなわち、スモールビジネスに必要な姿勢は、
確実に結果を出す堅実な活動で、
100件のメールを出すより、
1軒1軒をセールスして歩く姿勢です。

利用してくれた顧客を満足させ、
彼らを固定客にしていく活動です。

数撃つ姿勢よりも、
1軒ずつを確実に仕留める姿勢です。

その1軒を確実に固定客にする対応、
それが積み重ねを作り出し、
時間の経過とともにその蓄積を増やすことになります。

必要なことは○億円の売上といった幻想ではなく、
確実な○万円の売上になります。

着実に足元を固める、
そのしっかりした基盤があればこそ、
次への飛躍への足元が固まっていくのです。

その大元が、露出を意識したビジネス展開です。
ぜひお忘れなく。

露出とは、このように期待を目撃させ、
その期待を約束通り実現する活動と言えます。

ビジネス展開も男女関係と同じ。
日々コンタクトしあう相手、
目の前にいる相手の真摯な行動、
そこに感じ取れる真摯な気持ち、
そこに惹かれ、次の展開も始まります。

さて、あなた。
あなたは取引相手にしたい相手に対して、
いったいどういうアプローチをかけるのでしょうか。
あなたの熱意が試されるときです。

がんばってください。

(メルマガ『アメリカ発!「スモールビジネス」成功のセオリー』2015年2月16日発行 Vol.763より)