自分は国民、ないし自分は住民、そういう意識を持たない日本人はヤバイ!

あなたは、自分は日本人、そういう意識をお持ちですか。
あなたは、住んでいる地域において、
自分はそこの住人、そういう意識をお持ちですか。

日本では国際化が合言葉になリ、
英語教育がますます盛んになり、
英語での授業まで採用されるようになりました。

しかし、国際化には、英語を話し、
世界とコミュニケーションできることではなく、
日本人としてのアイデンティティーを持ちながら、
世界の一員として、異と交わり、異と協力し合いながら、
国際的貢献、責任を積極的にまっとうする意識が必要であり、
その貢献、責任意識に欠ける国際化では、
ひとりよがりの国際化に終わってしまいます。

しかし、日本人の場合、国際化以前に、
国民意識、つまり、すべてのことは、
国民の一人としての自分にも関連してくるという認識が
ないような気がします。

何かがあったらすぐ、
○○が対応してくれる、○○は誰の仕事、
そういう考え方が満延し、
自分も国の一部、というより、自分が国、という意識、
また、自分も国を素晴らしい国にする責任を
持っているという認識、責任感に欠けているようです。

政治をするのは政治家の仕事、
国を侵略から守るのは自衛隊の仕事、そういう意識が強く、
自分の住む生活環境のため、
国民である自分も積極的に働きかけていく、貢献していく、
国防は国民である自分も関与する仕事、
そういう発想がないため、
実りのある議論が展開されず、
いつまでも事態は向上しないことになります。

このように国民意識がないから、
外国からの移民受け入れに対しても、
国、国民としての発想視点がなく、
移民を受け入れることにより成長、発展してきたアメリカのように、
活気に満ちあふれた社会をつくり出すことは難しそうです。

少子化、高齢化が叫ばれ、
その経済的先行き不安が明確になっているにもかかわらず、
国民がそういう事態に積極的に取り組まず、
それは政治家の仕事、政府の仕事と我関せず、
することといえば、うまくいかないとすぐ非難、
これでは国に将来が生まれるわけがありません。

戦後、アメリカの庇護のもと再起を果たした日本は、
アジア諸国の一つとして顕著な経済的成功をおさめました。

他国から隔離された地域的特徴が、
思いのままの繁栄を可能にしたのです。

しかし、残念ながら、世界的に活動しながら、
世界の中では存在感が少なく、
尊敬されているようには見えません。

発言しない、行動しない、参加しない、わけのわからぬ国、
そのようにしか見えず、
とりわけ昨今では、アメリカの報道には日本が登場することが少なく、
アジアといえば中国が話題になっています。

ビジネス的に成功をおさめながら、
世界に貢献している事実が少ないのか、
それともそういう公報活動がへたなのかはわかりませんが、
日本人としてはすこぶる残念な話です。

つまり、世界において、日本の我関与せずの傍観者的姿勢、
自己利益のみ追及する姿勢、受益者オンリー姿勢が、
海外から相手にされず、日本は評価を落としているようですが、
国と同じような姿勢が、海外生活者、また、
ここアメリカ在住日本人の間にも見受けられます。

このように、世界的存在でありながら、
世界に溶けこまない日本の姿勢に、
問題や疑問を感じないまま、海外に出てしまうと、
国と同じように振る舞いがちになります。

では、そういう姿勢だと
海外での日本人への評価はどうなるのでしょうか。

滞在国において
自分だけが浮いた存在になってしまいます。

早い話、日本人同士だけで群がる生活習慣の維持で、
自分の住む地域やその住人から遊離した存在になります。

いつまでたっても英語が話せない、
文化に溶け込まない、地域社会に溶け込まない、
これでは海外に出た価値がなく、
在住しているコミュニティーにとっても迷惑な話です。

自分は滞在する地域の一住人、
だから、地域のあり方は自分の生き方の問題、
そういう意識がないと、
すべてに無関心になり、自分=地域社会ではなく、
自分だけがあり、地域社会とは無関係、
これではアメリカ社会に同化することができません。

同化できなければ
アメリカ社会でのチャンス獲得が難しくなります。

念のため。
貢献するとは、自分の持ち味を活かし、
自分の所属する社会、コミュニティーの成長繁栄のため、
積極的に関与し、自分なりにできることをしていく活動で、
決して○○することとか、
○○レベルの仕事をすることではないことを忘れないでください。

今回は、コミュニティー発想がビジネスにとってどれほど重要か、
その点について考えてみましょう。

私は、スモールビジネスオーナーは、
コミュニティー活動意識でビジネスに取り組むよう、
おすすめしております。

なぜか?
そういう発想がビジネスに繁栄をもたらすからです。
ビジネスの具体的社会貢献を具現化できるからです。

このあたりを噛み砕いて見てみましょう。

ビジネスは社会的役割を担った活動です。
社会に貢献できるから、サポートする人が増え、
おかげで成長もでき、
活動する社会の繁栄に貢献できるのです。

役割とは、役に立つ、貢献するということで、
そういう意識を持たないビジネスは、
当座金儲けができても、市場の支持がないため、長続きできず、
将来を生み出せないことになります。

競争社会で支持がなければ、
生存することはできません。

最近はオンラインで簡単に起業できるため、
目新しい商品を見つけ、
それを右から左に流すことで起業する人が多いようですが、
小遣い稼ぎ程度をよしとするならともかく、
ビジネスをするというのであれば、
そういうい姿勢では成長できません。

なぜ伸びないかといえば、
社会に対する貢献、責任、使命を忘れているからです。

消費者、顧客は敏感にそれを感じ取ります。
お金を出すのはお客、
その大切なお金を出す選択肢はいくらでもある現在、
その選択肢に入るだけの理由、根拠を示すことのできないビジネスに
チャンスは来ないのです。

ビタミン剤一つ売るのに社会性を考えろ?
ずいぶん大げさ!
そう考えますか。

それとも、ビタミン剤の役割を考え、
同じビタミン剤ならこういうビタミン剤でなければならない、
そういう真剣な取り組み姿勢で、
取り扱うビタミン剤の選択に挑みますか。

そこまでしなくても、ではなく、
そこまでして取り組む、その姿勢は、
自分が相手する市場に対して結果を出してあげたい、
役に立ちたい、喜ばれたいという気持ちと、
その社会の一員として無責任な仕事はしたくないという
責任感があればこそになります。

売りっぱなしのできない関係が
コミュニティーを意識したビジネス展開です。
なぜならコミュニティーは信頼関係で成り立っているからです。

この社会とは、小さなコミュニティーにはじまり、
全世界を含めたものですが、
スモールビジネスが全世界を相手にしようと思っても、
うまくいくことは難しくなります。

それよりは、自分の位置する地域社会をベースに、
自分のノウハウ、サービス、商品により助かる人々、
市場(顧客、競合相手、サプライヤーを含めて)を相手に、
それらの市場を組織化し、
その市場のいっそうの成長のために
ビジネスが提供できるすべてを提供し、
そのコミュニティーの発展に尽くし、
同時にその発展に伴い自分も成長していく姿勢があってこそ、
ビジネスは社会的役割を担っていけるのです。

その実例がカリフォルニア州にはあります。
カリフォルニア州では、
日本からの移民が新たな農産物や農業改革をもたらし、
地域社会に雇用促進、経済的活性化をもたらし、
かつその農作物はカリフォルニア州全土はもちろん、
全米、全世界へ出荷されるようになり、
その地域社会、州、そしてアメリカに貢献しました。

まさか小さな地域の新たな農作物が
そこまで貢献できるとは
誰も思っていなかったのではないでしょうか。

でも、結果はそういう事実をもたらしたのです。
小さなコミュニティーへの貢献が、
大きな社会に貢献した実例になります。

また、この過程で、新たな農業技術や農機具の開発をもたらし、
その恩恵はその地域の農業従事者ばかりではなく
世界で利用できるようになったのです。

安くて勤勉な労働力の域を越え、農業革命を起こした、
つまり、社会的貢献が大だったため成功したのです。

コミュニティー形成意識、
コミュニティーへの貢献意識、
コミュニティーへの具体的貢献、
それはリーダーシップ意識があってこそ可能になります。

起業家はリーダーシップのとれることが条件です。
リーダーシップがとれるとは、共栄共存意識が強く、
自らの力を全体のために活かしたい意欲をもち、
積極的に供益者タイプたらんとする姿勢です。

そうすることが自分を含めた皆にとって
重要であることを認識しているからです。

コミュニティーとは、
業界団体のごとく利益団体の集まりを指すものではなく、
生活者、消費者が存在する集まりを指し、
その生活者、消費者のレベルアップ、
そのコミュニティーの質のアップを念頭に取り組む活動が重要です。

たとえば、自動車産業は一つのコミュニティーです。
ペット産業、介護産業、趣味の団体、PTA、カラオケ産業、
アニメ産業、漫画産業、エンタテインメント産業、IT産業と、
独自のコミュニティーはたくさんありますが、
それらはコミュニティーづくり意識で動いた人々が
利用者、関係者と一緒になって
共栄共存関係の社会を築いたからになります。

さて、あなたのビジネスだったら
どのようなコミュニティーをつくれるのでしょうか。

不動産業にはディベロッパーという分野がありますが、
一定の地域空間に生活環境をつくり、住人を招致し、
その住人の生活に必要な施設、サービスを用意して、
地域社会と住人が共栄共存意識で繁栄し、
生活できるように全体のために貢献していくビジネスです。

彼らは自分のつくり出したいコミュニテイーのため、
常に周辺との関係を考慮して、
孤立しないコミュニティーづくりを意識しているようです。

一部宗教団体は隔離されたコミュニティーをつくりますが、
ビジネスのつくり出すコミュニティーにあってはならない発想です。

貢献の恩恵は自分たちだけのものではなく、
すべての人に行くことが前提でなければいけないからです。

先ほどの日本人がつくり上げた農業コミュニティーは
まさにその例になります。

自分一人では生きていけないことは、
個人の場合だけではなくビジネス社会についても言えることで、
組める仲間と組み、その輪を広げる、
すると自分が活躍できる場が大きくなるのです。

そして、活躍するとは、
そのコミュニティー住民にそれなりの恩恵を提供できるからになります。

さて、自分一人の利益が動機になり行動するあなた。
自分が儲かる意識と、他人を儲けさせる意識では、
結局どちらがあなたにとって結果を出せることになるか、
それを考えたことがあるでしょうか。

あなたのビジネスが提供できるノウハウ、商品、サービスを
喜んでくれる人々と一緒に、共栄共存社会の形成、
それがコミュニティーづくりです。

すると、あなたは自分の可能性をフルに発揮できるはずです。
あなたの努力が素晴らしい結果を
発生させることができるようになります。

共栄共存のコミュニティー活動は、その構成員を富まし、幸せにし、
あなたのビジネスを繁栄させます。
だったら、あなたも一つチャレンジされたらいかがでしょうか。

単に売り買いで満足するビジネス展開から、
あなたのビジネスを中心にした新たな社会の構築、
やってみませんか。
面白いですよ。

(メルマガ『アメリカ発!「スモールビジネス」成功のセオリー』2015年6月15日発行 Vol.778より)