お金の儲け方、使い方、どちらが重要?

あなたは儲けることと使うこと、
どちらを重視していますか。

スモールビジネスの場合、まずは稼ぐ、
それに一生懸命ではないでしょうか。

多くの方は、お金は稼ぐことより
その活かした使い方こそに価値があると看破します。

しかし、スモールビジネスの現状からみれば、
まずは稼ぐが先決です。

稼ぐ、そして、もっと稼ぐ、ついでにもうひとがんばりして稼ぐ、
ぜひ実行してみてください。

儲けがあればこそ、その儲けをいろいろなことに使えます。
社会的貢献も可能になります。

いくら社会貢献意欲があっても、
赤字の会社、儲けのない会社ではどうすることもできません。

稼いでもいないうちから、
いくら立派で有益なプロジェクトを口にしても、
実現のための第一歩、お金が手元になければ、
砂上の楼閣にすぎません。

まずは稼ぐ、どんどん稼ぐ、そして、自分を確立させる、
そこから、はじめて活かして使うことも可能、
ぜひそれをお忘れなく。

ビジネスによっては、慈善活動などをうたい、
それをビジネス展開の起爆力にしようと意図する人がいますが、
それでビジネスを動かすことはできません。
慈善を利用する展開はうまくいかないのが普通です。
(例: 売上の10%を○○に寄付します)

もちろん、売上のすべてを寄付しますというのは別の話です。
儲かっているからそういうことが実行できることになります。

まずはお金を稼ぐ、貯める、
そして、そのお金がある一定の力になる程度たまったら、
それを活かして使う、が物事の順序です。

いくら使い道が有益であっても、ないものは使えない、
ぜひお忘れなく。

稼いだらそれを活かして使いましょう。
お金は道具です。
使いこなす必要があります。
使い方がわからなければ道具の持ち腐れです。

その道具で並の結果を出せる以外、
びっくりするような卓越した結果を産み出すこともできます。
それは、道具のせいではなく、その道具を使う人の力になります。

絵筆は絵筆でありながら、
その使い方で名画が生まれてくるのです。

だから、まずは道具が果たすべき
役割を果たすために使う(例: 生きるために食べる)、
そして次に、いかに上手に使うか(例: 増やしたり、
ビジネスの成長飛躍、社会的価値の創造)がテーマになります。

こう考えると、先のテーマは二者択一ではなく、
表裏一体の一つのテーマということになります。

活かし方がうまければ儲けることができます。
儲け方がうまいのは、金が金を産み出すような
上手な使い方をしているからです。

実のところ、お金を投資のための道具と考えると、
「儲ける」と「使い方」の両テーマに対する
活動であることがわかるはずです。

この商品に投資すべきか、
この市場に投資すべきか、
この人に投資すべきか、
そのテーマは使い方と儲け方両方に対する
チャレンジであることがわかります。

問題は、儲かったお金を生産的ではなく、浪費的に使う人が多いため、
こういうテーマが出てくることになります。

また、浪費に溺れ、ビジネス経営から目をそらすために
悲劇が起きている現実が、そういう発想、
お金は活かし方が重要という発想を生み出します。

では、どうやったらお金を儲けることができるのでしょうか。

ビジネス経営には、こうすれば絶対成功するといった
方程式などありません。

だからこそ、いろいろなことを試す余地があり、
自分なりにうまくいくやり方を見つけた人が
うまくいくことになります。

自分の思惑通りにことが運ぶと、うれしくなるものです。
経営の面白さ、楽しさ、エキサイトとは
そういう余地があるからになります。

また、経営の面白さは、
こうしたからとすぐに結果が出るものではなく、
時間の経過があってこそ、その傾向が出てくるのであり、
逆に言えば、その傾向いかんで
いくらでもやり直しや修正がきくという事実があり、
まじめに全力で取り組む限り、
決してとんでもない結果に泣くことなどないベンチャーと言えます。

経営とは、結果発生に関して
極めて確実性の高いベンチャーと言えます。

儲けは一日にして生まれるものではなく、
日々の確実な一歩の積み重ねで生まれてくるもの、ということがわかれば、
自ずから経営への取り組み姿勢、
儲けるために自分のすべきことがわかってくるのではないでしょうか。

儲けることは、
そういう心構えと行動があってこそ可能になります。

行動には力が必要です。
その力は自分で育てることが必要です。

もし、そういう過程をスキップすれば、力は育たず、
いざとなったとき、経営できないことになります。

たとえば、フランチャイズビジネスは儲かるということで、
自分のビジネスをフランチャイジーに売ることにより
儲けようとする人が多いようですが、
そのような軽はずみな発想だけではうまくいかないのが実情です。

まずは成功したビジネスを築きあげる、
するとその経営を通じて
フランチャイジーを儲けさせる力も生まれてきます。

もし、そういった体験に裏打ちされないフランチャイズ経営では、
はじめから失敗することが目に見えています。

相手はお金を投資し、独立心の強いフランチャイジーばかり。
社長の言うことなら何でも聞くサラリーマンではありません。

彼らをうまく束ねて、一つのうまくいったやり方を徹底させながら、
彼らのビジネスに結果を発生させるわけですから、
自分だけでやる場合より、もっと難しい仕事になります。
力が不可欠です。

ちょっと横道にそれますが、
SBA(中小起業庁)によれば、
融資に関しては、独立起業家に比べ、
フランチャイズビジネスへの融資のほうが
トラブルが多いそうです。

また、ある教授の調査によれば、
起業後4年間と期限を切った場合、
フランチャイズビジネスより
独立起業家のほうが生存率が高かったそうです。
依存心とコミットメントの度合いが違うからかもしれません。

何かを築きあげようとする気迫と覚悟、
かたやフランチャイザーという庇護者がいる経営では、
やはりコミットメントに違いが出るようです。

儲けの基本は、
売上アップと収益性アップがあってこそになります。

しかし、これらのアップは、単に物の販売だけでは
すぐ壁にぶつかるという限界があります。

その限界を破る方法とは?
それがビジネスの展開です。

つまり、従来のやり方にいっそうの拍車をかけて、
数字的アップを目指すやり方では、
数字的アップは可能でも、
まったく新しい将来は生まれないということです。

新たなビジネス展開、つまり、展開レベルの次元アップ、
それがあってこそ儲けが可能になるのです。
やり方を変えることが異なる結果発生への道になります。

物の販売、売上アップには宿命的限界があります。
それは時代の経過に伴う商品の陳腐化であり、
競争相手の台頭による売上ダウンが待ち構えているからです。

時間的経過としては、
売れ出すとある時点から競争相手が台頭し、
おかげでマージンを減らす必要が出てきます。

また、時間経過に伴うコストアップを
競争激化のため価格に転嫁できなくなります。

つまり、売上ダウンとマージンの大幅ダウンという
シナリオははじめからわかっていますので、
それを乗り越えるためには、常に次の戦略を考え、
ビジネスを展開していく戦略がなければいけません。

物の販売意識だけでは簡単に数量的限界に到達し、
ビジネスは行き詰まってしまうのです。

だから、儲けるということは難しい仕事で、
先見の明や知恵が求められることになります。

一言で言えば、ビジネス経営とは
「次のビジネス展開意識」があればこそ展開でき、
達成できるベンチャーです。

確かに一時的な運で儲けるビジネスもありますが、
次の展開を考えないビジネスは
いつの間にか市場から消えていくものです。

スモールビジネス経営においては、
起業当時はとにかく行動、
ありとあらゆる可能性を駆使しながらただひたすら走り続け、
お客のクチコミとリピートビジネス確保に専念し、
ある一定の数字や規模に達したら
物の販売意識からビジネスの展開意識に切り替え、
それなりに次の展開に突入、
それがあってこそ成長も約束されることになります。

儲けるとは、そういう意識と活動があればこそで、
その過程では再投資が繰り返される必要があります。

いわゆる生きた使い方の実践が
儲けと同一ということがわかります。

生きた使い方というと、
すぐ、社会的貢献活動=寄付活動が取り沙汰されますが、
そもそもビジネス活動自体は社会的存在で、
ビジネス活動=社会的貢献活動という認識があれば、
寄付=社会貢献は実情を無視していることになります。

お金を渡し、誰かに何かをさせたり、
何かをしている団体に寄付することで社会貢献すること以上に、
ビジネス自体が日々の活動で何かをすることのほうが
よっぽど有効な社会貢献になります。

たとえば、自動車会社を例にとれば、
排気ガスを垂れ流す車から電気自動車の開発、
そして、水や空気で走る自動者の開発のほうが、
排気ガス被害者治療の病院に寄付したり、
植林のために寄付するより意味も意義もあることになります。

また、新たな技術やテクノロジーによるコスト削減による
小売価格の半減のほうが、
消費者にとっては意味も意義もあることになります。

アコギな方法で儲ける一方、
その儲けから寄付して罪の償いをしているビジネスが多くありますが、
それよりはアコギなほうをやめてもらうほうが
消費者にとってははるかにありがたいはずです。

○スモールビジネスはまずは儲けることに専念する。
それには生きたお金の使い方意識が不可欠
○物の販売意識からビジネス展開意識に切り替え、
社会的に有益な活動を実践していく
○その過程で売上も儲けも大きくなっていく
○物がビジネス展開の道具になり
新たな社会的価値を創造する活動を展開していく
○そういった次のビジネス展開意識があってこそ、
儲けも確実になり、儲けも大きくなる
○そういう経営があればこそ、ビジネスも成長、発展していく
○伸びているビジネスだと投資家も融資家も食指を動かします

ぜひこれらのことをお忘れなく。

(メルマガ『アメリカ発!「スモールビジネス」成功のセオリー』2015年7月20日発行 Vol.783より)