お客さんは待っている!  何を?  それを考えよう!

スモールビジネス経営者には
スモールビジネス経営者としての生き方、やり方があります。
あなたはそれをおさえているでしょうか。

同じ経営者といっても
大手とスモールビジネスではその役割が異なります。

社会的影響力の大きさが故に
組織活動発想と株主配慮発想の大手に対して、
自分が100%株主であり、
自らがリードし行動するスモールビジネスでは、
経営に対する考え方も違ってくるようです。

この経営メモは、スモールビジネス経営者が
自分と同じ仕事やテーマに携わるスモールビジネス経営者を相手にした
実践的メモになります。
そして、その典型例がこのテーマです。

スモールビジネス経営者は
どこにいてもこのテーマについて考えるものです。

それが集客に対する答えであり、
ビジネス経営の基本姿勢であり、
あなたのビジネスに対する取り組み温度になります。
あなたの場合、いかがでしょうか。

ビジネスにおいては、まず、
自分のビジネスはどういうことを成し遂げたいのかといったビジョン、
誰を対象にビジネスを展開するかといった明確さが重要で、
それがあればこそ、この「お客さんは待っている! 何を?」に対する
意味も出てくることになります。

では、あなたのビジネスのお客は誰なのでしょうか。
自分のビジネスが対象とするお客は誰かが明白でないと、
彼らのニーズ、欲望、期待を満たすことは難しくなります。

そして、その誰かを明確にさせるのが
ビジネスの持つビジョン、ミッションであり、
オペレーションの過程で集まってきた
現実のお客に共通したパターンです。
まずはそれを明確にしてください。

なお、ビジョンとは、大半の人には見えない、気がつかないが、
そこに現実に存在する必要、理想鄕、
いまだ登場しない具現化されるべき姿を、感じ取るセンスと言えます。

芸術家が一つの木や粘土から作品を創り上げますが、
それはその素材の中に隠されている姿を掘り出す活動と言えます。
彼らにはその姿が見えているのです。

その姿を具体的に見ることができるのはエキサイティングなことです。
しかし、その姿をそのまま掘り出すには
最大の注意と慎重な行動を必要なことを忘れないでください。
考古学者の発掘作業と同じです。

同じ発想がビジネスにおけるビジョンで、
ビジョンとは自らが産み出すというより、
社会にとって必要、重要な未登場現実、
未発掘姿を見通す力と言えるかもしれません。

この力は誰にでも与えられており、
その気になれば誰でも発揮できる力で、
決して特殊な人だけに与えられた能力ではありません。

ブランド商品、ブランドサービスを持っている会社は、
そのあたりに成功しているから
結果を発生させているのです。

また、同じブランド商品でも、
本国では何でもない商品が、
一部の地域においては特別高級商品として
普及しているケースがありますが、
それはその商品を特別視しているお客の多い地域に
その意識を刺激するために特別にプロモートして、
おかげで成功しているケースです。

日本人がやたらと求めたがる商品のメーカーが
日本に支店を設けるのはそのためです。

お客さんは待っている、だからそこに行く、
まさにこの実践になります。

自分のお客は誰か、それが明確になると、
次のテーマは「お客様は待っている! 何を?」になります。

先程述べたように、特別に志向の強い地域があれば、
そこに出向き、そのリクエスト、デマンドに応えるのが、
「お客さんは待っている! 何を?」に対するレスポンスです。

しかし、多くの場合は、表面化していない
掘り出されるのを待っているデマンド、期待に対して、
それらを感じ取り、どう見極め、どう対応していくべきかというのが、
ビジネス現場でのテーマです。

今回はこのあたりを考えてみましょう。

ビジョンとは洞察力であり、インスピレーションで、
決して考えたから得られるものではありません。
従来の固定概念にとらわれない
自由な感性があればこそ感じ取れる力になります。

経営者とは、言われたことを、忠実に確実に実行できる、
いわゆる雇われ社長のごときアドミニストレーターではなく、
ビジョンの発掘者であり、新たな価値の創造者です。
それがスモールビジネス経営者の特徴になります。

もし、このような立場の人間が、
食っていくため、金を儲けるためだけの行動に走るようなことがあれば、
スモールビジネス経営者としての存在価値を
活かしきれなくなってしまうことになります。

経営者は現場に出て、いまだ発見されていない、
未登場の具現化されるべきものがないか、
それを探す必要があります。
ビジネスは、社会的存在だからこそ、そういう姿勢が重要です。

その際には、自分のビジネスが得意としていることは何か
貢献できることは何か、お客さんが待っているのは何か、という、
3つのキーワードを念頭において周りを見渡してみてください。

自分の感性は自分だけのもので、
決して皆と同じものではない、
だから、自分は自分なりに社会に貢献できるという
自信と誇りを持つことが重要です。

リーダーシップをとるには、
自分なりに自分に対する価値観を持つことが必要です。

自分がトップであり、自分が皆の面倒を見る立場の人間は、
ギブの習性、責任感、日々成長意識、
ビジョン具現化のための具体的継続行動が不可欠です。

個人の欲得、数字や、他人の批判がビジネスを導くのではなく、
ビジョンがビジネスを導く必要があります。

見えている人の行動が、見えていない人の言動で
動かされることがあってはなりません。
動かされてしまうのは、自分が見えていないだけの話です。

強い信念、それは見えているから知っている、
だから、その道を進めるのです。

確信といった概念の話ではなく、
見えているから、それだけの話です。

お先真っ暗、漠然とした大地に向かっているのではなく、
その中、その先に見えるものがあるから、
だから、その道を進むだけの話です。

しかし、あなたには一緒に仕事する仲間
(従業員、取引先、顧客、そして地域社会)がいます。

だから、あなたは見えているビジョンを皆に知らせる必要があります。
経営者はコミュニケーションに秀でている必要があります。

小さなビジネスの場合、
それは日々の仕事姿で示したり、口にしたりすることです。
人は説明しなければわからないものだからです。

今からこうします、なぜこうするのか、なぜこうしたのか、
折りに触れて仲間と意思疎通を図っていればこそ、
皆がビジョンを共有でき、皆仕事に力が加わるのです。

ビジョンの実現は、あなたにとって無常の喜び、
皆にとって最大の利益、
時代にとって歴史がもたらす革新です。

前の世代の前進が今の世代の前進に力を貸し、
今の世代の工夫が次の世代の前進に知恵をもたらす、
それが人間社会の歴史の流れです。

当たり前のことをごく当たり前に、
それだけの話です。

「お客さんは待っている! 何を?」とは、
そういったテーマへの取り組み姿勢で、
自然の流れの中に自分なりの貢献を模索する活動と言えるかもしれません。

それは、そういう意識を持った人間だからこそ
優先的に発揮できる力なのです。

ビジネスの個性化、差別化、競争力とは、
実はそういったテーマへの答えを持てるか否かの問題なのです。

あなたのビジネスにとって重要なことは、
実現したいことが明白かどうか、
誰を相手に仕事していくのか、
その人たちのニーズや欲望、期待に対してどう答えていくのか、
そのテーマにどれほど真剣に取り組めるかどうかです。

一時的数字が、あなたのビジネスを、
社会的に存在させたり成長させたりするわけではありません。

ビジネスとは金儲け、それは投資家的発想、
アドミニストレーター的雇われ経営者の発想、
多くの方が抱く妄想。
だから、足元を救われたり、人生を破滅させたりしてしまいます。

スモールビジネス経営者は、
自分のビジョンの重要さが故に、ビジネスに邁進し、
その活動への受益者、支持者増大こそが、
ビジネスの価値を高め、個性化、差別化を促し、競争力を高め、
結果として金銭もついてくるといった
数字は単なる結果、そういう発想でビジネスに取り組みたいものです。

金は集めるものではなく、寄ってくるもの、
どちらかと言えば、お賽銭的感覚で十分ではないでしょうか。
ありがたがられれば、感謝され、お金もいただける、
それだけのことです。

さて、あなた、
今、あなたには、あなたをひいきにしているお客がいます。
その多寡は関係ありません。
そのお客はあなたに何を期待しているかご存知でしょうか。

どんなに大きな企業でも、
自分のお客にできる数字には限度があります。
つまり、どこのお客でもない人ばかり、それが現実です。

彼らが特定のビジネスにべったりとくっつかないのは、
誰かピッタリのビジネスが登場して来るのを待っているから。

だとしたら、あなたは、漠然とした市場という原野に
いったい何を見ることができるのでしょうか。

外に出ましょう。
澄んだ目で周りを見渡しましょう。

素材の中に、いまだ掘り起こされていない形が、
あなたには見えませんか。
掘り起こされるのを待ち望んでいる姿を。

お客さんは待っている! 何を?

さあ、あなたはどうしますか。

(メルマガ『アメリカ発!「スモールビジネス」成功のセオリー』2015年6月1日発行 Vol.776より)