ロイヤリティープログラムを活かそう!

集客、お客の固定化、リピートビジネスの創造、
無駄なコストをかけないで売上アップ、
それを可能にするのがロイヤリティープログラムです。

ただし、実際の軸足は、現在の顧客の固定化、
彼らからの売上アップ、上得意からの売上アップに
的を絞ったプログラムが一般的のようです。

新規顧客獲得にはコストがかかること、
顧客の移動の激しさ対策を考えてのことで、
それなりに効果をあげているようです。

ただし、皆がうまくプログラムを駆使しているわけではなさそうで、
プログラムを実施しているビジネスによれば、
特典を得る権利がありながら、
それを放置している顧客も3割ほどいるほか、
自分はこのビジネスのお得意様なのに、
それに対して何ら特別な対応を受けていないと
感じているお客もいるそうです。

多くの小売店がリピーターを生み出すために
ロイヤリティープログラムを開始して、
顧客の固定化と上得意顧客の利用度を高めようとしています。

しかし、現実にはそのプログラムを生かし切れず、
思うように結果をあげられないビジネスも多いとのことです。

では、どのようなポイントを改善すれば、
より結果を発生させることができるようになるのでしょうか。

プログラムには、一定利用回数後に特定の特典を得るプログラム
(カーウォッシュの例ですと10回洗車すると11回目は無料)、
希望者に無料で登録させ、利用するたびに特典を得られるプログラム
(食料品店の例では5%割引)、
会員制にして会費を徴収し、買い物ごとに10%割引など、
いろいろなパターンがあります。
航空会社ではマイレージプログラムがポピュラーです。

大手スーパーでは顧客をプログラムに参加させ、
そのクレジットカード購入履歴から
どのような商品を購入しているかを分析し、
その客が店内のモニターにID番号を入れると、
その人がよく求める商品に対してその人用の特別価格を表示、
顧客は陳列棚の価格とは別の
自分用の価格で購入できるようになっています。
見事で緻密なお得意様対応システムです。

ただし、一般的には、利用者側からすると、
あまりに皆が似たようなことをしているため、
ロイヤリティーカードを何枚も持つのが面倒くさい、
ポイント獲得方法がややこしい、
特典利用方法が不明、
もしくはいつまでに利用のことという制限がついているため
特典が逆にプレッシャーになるケース、
カードを持ち歩かないため、せっかくの特典を利用できなかったり、
特典を利用しようという意識で利用していないので、
特典が用意されている事実に無頓着なまま
相変わらず利用していくケースが多いようです。
プログラム自体の簡潔さがテーマになるようです。

お店側の対応を見ていると、
レジ係が必ずロイヤリティーカードをお持ちですかと毎回尋ねるところと、
出されたときだけ対応しているところもあります。

また、ロイヤリティープログラムの存在を
大々的に店内でプロモートしているところと、
そのようなプログラムが存在することすらわからないところもあります。

つまり、プログラムの目視化対策、促進の不徹底、
顧客が利用しやすい方法を模索する姿勢の欠如が
プログラムの実効性を薄めてしまうようです。
また、上得意にもっと利用してもらう工夫を考える必要がありそうです。

現在ではモバイルマーケティングの時代ということで、
クレジットカード使用に連動させた
ロイヤリティープログラムがたくさん出回っており、
スモールビジネスでも大きなお金をかけないで
ロイヤリティープログラムに取り組めるようになりました。
ありがたい世の中になったものです。

私が渡米したころ(1976年)、
ロイヤリティープログラムの先駆者で
ブルーチップスタンプというのが流行っていました。

加盟店で買い物をすると、
金額に応じてブルーのスタンプをくれ、
それを切手のように裏をなめスタンプ帳に貼り付け、
それが一定量たまったらブルーチップ景品交換所に出かけ
商品をただでもらえたものです。

1970年の売上が1億2600万ドルということですので、
その普及度のすごさがわかります。

しかし、1980年代の不況に伴い、加盟店が次々経費削減で離脱し、
1980年は1940万ドル、1990年は150万ドル、
そして2006年には2万5920ドルまでダウンしています。

ただし、会社自体は成長時の資金を元に投資会社を設立し、
その投資会社は成功している有名チョコレートキャンディー会社に投資し、
後には100%オーナになり、後年大手投資会社と合併しています。

現在は各クレジットカード会社がこの発想に追従し、
カード使用金額に応じてボーナスポイント制を提供しています。

最近発表されたコンビ二業界での
ロイヤリティープログラムの実体調査では、
全顧客のうち、25%がロイヤリティープログラムに参加し、
参加者のうちロイヤリティープログラムを定期的に利用するのは
66%とのことです。

今後のプログラムのテーマは、
参加者数をいかに25%以上にするか、
参加者にいかにもっと頻繁に利用してもらうか、
上得意にもっと利用してもらうにはどうしたらいいかがポイントと
結論づけています。

そのヒントになるのが、ダブルポイント獲得システムです。
一定のポイントまでは普通のポイントを稼げるが、
それを超えてからは同じ金額でダブルのポイントが稼げ、
ポイント獲得量が大きくなるシステムです。
早い話、上得意ほどその恩恵を受ける体制づくりになります。

これと同じ発想がアマゾンのプライムメンバー制です。
特別メンバー年会費を払えば、
通常のメリットのほか、無料配送を2回受けられ、
しかもその際は最低購入金額の制限がなくなるようになっており、
頻繁に利用するお客にとってはありがたいサービスになっています。

面白いケースとしては、
ロイヤリティープログラムの一環として、
ブランドアパレルメーカーが自社のウェブサイトで
自社製品の中古商品の売買の仲立ちをしている例があります。

ロイヤリティープロラムの成功条件とは
1. 顧客が欲しがる特典を提供すること
2. プログラムは誰にでもわかりやすく利用しやすいこと
3. プログラム推進活動の徹底
4. 約束を約束通り実行すること

今回はスモールビジネスでもできそうなシステムについて考えてみましょう。

スモールビジネスによくみられるプログラムは、
クーポン制、
月極制による特典提供、
ネットワーク提供サービス、
デジタルアプ利用、
プログラム提供会社のサービスを利用、
です。

コストがかからず、面倒がなく、てっとり早い方法は、
専門会社のサービスを受け受注、
それに対してサービス料を払うやり方ですが、
月々のサービス料+コミッションを払ったり、
フルコミッションだったりと、
その料金請求のやり方はいろいろで、
フルコミッションの場合、手数料は25%前後が標準的です。

要は、そのサービスにより、本当に固定化が促進されているのか、
固定客からの売上が25%以上の売上を達成しているか、
顧客忠誠度が高まっているのかの疑問に
肯定的答えを得られるかになります。

イェルプやグルーポン、また、
その他のソーシャルネットワークにより集客は可能ですが、
固定化させたりその固定化した客からの売上をアップさせたり、
他の競合相手に対して
積極的に自分のビジネスを選んでもらえる忠誠度の高揚は
他の方法に頼らなければいけないのが実情です。

どうやったらそのようなことが可能になるか、
それがロイヤリティープログラム選択の理由ですが、
実のところ、他の方法によってもそれを達成できます。

というより、そういう日ごろの経営姿勢があれば、
同じ効果の発生、しかも特別なコストをかけず、
また利益を削る必要もないことになります。

本当にそんなことが可能なのか。
まずは試してみてください。

1. 現在の顧客リストを作成
2. 顧客の購買履歴・志向の分析
3. そのリストに基づきコミュニケーションを開始
4. 販売に関するやリ方を見直し、お客サイドの視点で見た改良
5. 顧客サイドでの視点から、納品・請求・苦情処理に対する手続きを簡易化
ビジネスへの反映
6. カスタマーサービスの改善

つまり、責任を持って自社の商品・サービスを提供、
日ごろからのお客とのコミュニケーションを促進、
カスタマーサービスのグレードアップ、
苦情処理の受付体制の確立、
商品・サービスが時代の要求に応じてアップグレードしていく、
継続して固定客の購買意欲を刺激する。

すると、信頼関係が高まり、固定化が促進され、
それに伴い、顧客の声を取り入れた
商品計画・サービス計画を用意することにより
購買意欲と購買行動を促進し、
お客は自分が大切に扱われている意識を確認でき、
それがビジネスへ売上アップをもたらすことになります。

顧客の忠誠度アップや固定客からの売上アップは
特別な秘訣やシステムがあって可能になるのではなく、
ビジネスとしてすべき当たり前のことを当たり前のごとく実践する、
するとお客の固定化もリピートビジネスのアップも
実現するということになります。

そんな当たり前のことだけで? と疑いたくなりますが、
行動すれば結果にびっくりするはずです。

言葉は簡単ですが、実践は難しいものです。
だから、とりあえず実行してみてください。

世界一のファーストフードチェーンは、
常々問題こそが成長の踏み台と公言し、
問題を歓迎する姿勢を大々的にうたっていました。

そして、中国工場での期限切れチキンの出荷、
それに続く異物の混入事件、
さらには時間給アップの問題が浮上しました。

ところが、いざ問題が発生したとき、
言葉に反してそれらに堂々と対応しなかったため
消費者からの支持を失い、
現在業績がどんどん低下しています。

もはや問題はメニュー開発の問題ではなく、
消費者の信用問題に発展しています。

ロイヤリティープログラムとは、
単に売上アップへの手段ではなく、
そういう場面で初めて真価が問われるものなのです。

さて、あなた。
あなたは固定客と常々コミュニケーションをとり、
信頼関係の樹立に努めていますか。

あなたは、固定客の苦情・不満・不安に対して
誠実に対応していますか。

競争他社に対して、あなたの固定客は
迷いなくあなたを選択するのでしょうか。

何か問題が発生したとき、
あなたの顧客はいったいどう反応するのでしょうか。

あなたは自信を持って、顧客のサポートに変化はない、
そう言い切れますか。
いかがです、あなた。

そういう信頼関係の構築があればこそ、
数字の上でも結果として出てきます。

ロイヤリティープログラムの基本理念は、
一時的売上アップではなく、
お客のニーズ・欲望・期待に応えることにより得られる
顧客信頼度アップ、忠誠度アップにある、
ぜひそのことをお忘れなく。

(メルマガ『アメリカ発!「スモールビジネス」成功のセオリー』2015年7月6日発行 Vol.780より)