チャレンジ?   あまり難しく考えないこと

チャレンジ心で取り組む仕事、
それとも達成可能性を信じて取り組む仕事、
あなたはどちらの気持ちでビジネスに取り組んでいますか。

はっきりしていることは、
これはできそうだ、そう思って取り組む仕事は
無理なく達成できる仕事だということです。

チャレンジという言葉には、いろいろな意味があります。
一般的には、特別な努力や貢献を必要とすることになります。

勝てるあてもないような強い相手に立ち向かうことがチャレンジですし、
通説や意見に意義を申し立てるのもチャレンジです。

ビジネスの社会では、
簡単に成就できそうもないプロジェクトに取り組むことを
チャレンジと呼びます。

しかし、もし当事者が自分ならできると確信している場合、
失敗や不可能性を念頭に置いていない場合、
特別な努力や貢献を当たり前のことと考える場合、
ダメもとでもやるということなら、
チャレンジ心は生まれてきません。

早い話、自分にはできる、できそうだ、
できるできないなどどうでもいい、やりたいからやる、
そう思い込むことができれば、
「チャレンジ」という言葉が不要になります。

残念ながら多くの方は、
「とてもできそうではない」が先行するため、
チャレンジという言葉が必要になるようです。

たとえば、人は自分ができることに取り組む場合、
チャレンジという意識など生まれません。

できるかな、ちょっと無理かなという気持ちが働くから、
自分を鼓舞するため、チャレンジという意識を持ちます。

しかし、難事に見えることも、
よく噛み砕き、その実体を理解できれば、
「な~んだ」ということが多く、
おかげで、自分にもできそうだ、これならできる、
そう確信できるようになり、
チャレンジという気持ちは消えてしまうはずです。

つまり、できそうだと思って取り組んだり、
できると思い込んで取り組む場合、
気負いもなく、肩の力も抜けて取り組みますので、
成就率が高くなることになります。

日本のスポーツ選手が、国内での実力を海外で発揮できないのは、
勝たなければいけない、しかし、勝てるかどうかわからない、
だから気負いすぎ、肩に力が入りすぎているからではないでしょうか。

偉業達成者の中には、チャレンジ心を強調し、
どんな障害、リスクが登場しても、それを乗り越える意識、
そういうチャレンジ心があったから成功したと口にする人がいます。

おかげで成功したり、偉業を達成したりするためには、
チャレンジ心が不可欠と強調されます。

しかし、私の体験からすると、
できるできないという意識を超越して取り組む場合、
チャレンジという意識など出てきません。

こういうことがあったらいいのに、
こういうことがないのはおかしい、
こういうことは必要だ、なのに誰もやっていない、
だったら自分がやろうで、プロジェクトに着手しているからです。

チャレンジするといった気負い、気迫というより、
自分がやってみよう、といった軽い気持ちで、
取り組んだケースばかりです。

何かに取り組む場合、通常、どうやって実現するかを考えますが、
その際、いろいろな選択肢を用意し、
その過程で実現可能性が見えてくるものです。

早い話、心から実現を夢見ると、
その方法が自ずから見えてくるというのが事実です。
この段階ではチャレンジという意識など出てきません。

でも、大きな障害が登場し、
とても夢実現が無理と思われた場合は?

何とかしよう、うまくいかせるにはどうしたらいいか、
そればかりを考えて行動していると、
余計な心配をする暇がなく、
少しうまくいきだすと勢いが生まれ、
さっさと成就してしまうケースばかりで、
チャレンジという意識など出てきませんでした。

どうしてそのような心持ちになったのでしょうか。
実のところ、取り組む前から、できそうだ、できる、
そういう感触、確信があったからです。

つまり、これは是が非でも実現したいと、自分なりの思い込みが強く、
その思い込みを具体的にイメージしていたから
簡単に見えたのかもしれません。

具体的にイメージできたおかげで、
ますますその実現の素晴らしさを実感でき、
それが余計な雑念の生まれる余地をなくしてしまうようです。

また、面倒そうに見える仕事を噛み砕いて分析することにより、
実体を把握できたのがうまくいった理由かもしれません。

先日、日本の新聞の電子版に、
大阪でお好み焼きのとりこになったイギリス人が
英国でお好み焼き屋を開業し、
そのお好み焼きを持って
本場大阪に支店をオープンという記事がありました。

一見大きなチャレンジに見えますが、
もしかしたら本人は、
「俺の作ったお好み焼きは美味しいよ、食べて見てください、
大阪本場のお好み焼きファンの皆さん」程度の発想かもしれません。

昔、日本の自動車メーカーがアメリカに小型車を持ってきましたが、
坂は登れない、エンジンは焦げ付くという、散々な経験をしたそうです。

自動車の本場への進出をチャレンジと考えたか、
それとも、俺たちの技術は決してアメリカに劣っていないはずという信念で、
アメリカ進出に取り組んだのかの真偽はわかりませんが、
もしかしたら、アメリカで日本の自動車が走り回る、
それを我々の手で実現したい、
そういう思いだけの行動だったかもしれません。
いわゆるチャレンジという意識はなかったかもしれません。

たとえば、現在の日本のピザは、
アメリカのピザより美味しい気がします。
その美味しいピザをアメリカ人に食べさせたいという人がいれば、
それはチャレンジというより、「思い」の問題になります。

今回は、難しそうに見える仕事を、
自分にはできる、自分にはできそうだ、
そう自分自身が感じられるようになるにはどうしたらいいか、
そのあたりを考えてみましょう。

それがうまくいけば、夢達成は簡単になるはずで、
気負いのない、肩の力の抜けた仕事が可能になるはずです。

1. 取り組むテーマを細かく噛み砕いてみる
2. 最優先事項を決める
3. その決断に基づいてひたすら行動する

1. 取り組むテーマを細かく噛み砕いてみる

起業に関しては、資金はあるだけで始めることをおすすめします。
やったことのないことですので、いくらかかるかわからないのが事実で、
かけようと思えばいくらでもかかってしまうものです。

しかし、問題はかけた金額と成功とはまったく関係がないということです。
だったら、あるだけで始め、
ある程度の感触がつかめるようになってから、
その段階で資金の手当をしていけばいいと思います。

もし、からっきし資金がない場合は?
なくても始められる方法を模索してみてください。
現実には裸一貫からの起業して成功した起業家はいくらでもいます。

もし、既存ビジネスを買って始める場合は、資金が必要です。
買って始めるやり方は、お金を最も効果的に活かす方法になります。

でも、1000万円はとても出せない?
多くの方はその金額で尻込みしてしまい、起業をあきらめてしまいます。
もしくは借り歩くことになります。まさにチャレンジです。

しかし、もしその1000万円調達にあたり、
1000万円を1人から、もしくは500万円ずつを2人から、
100万円を10人から、それでも無理なら50万円を20人からと
噛み砕いてみてください。

どうです、こうすると資金調達可能性を感じてきませんか。
何とかなりそうな気がしてきませんか。

そう、そういう感じが持てたとき、
できそうだ、よしやろう、
そういう気になるのではないでしょうか。
この段階ではすでにチャレンジするという意識が消し飛んでいるはずです。

私の知り合いは、働いていた自動車修理工場を
オーナーから8万ドルで売ってやるが、
やらないかともちかけられました。

ビジネスは好調ですので、買いたい気持ちは山々ですが、
8万ドルという金額が重くのしかかり、彼はあきらめかげんでした。

そこで、このやり方をお話ししたところ、彼の友達が2万ドル、
その友達の友達がもう2万ドルと、一挙に4万ドルが集まり、
彼はおおいに勇気づけられ、残り4万ドルをさっさと調達し、
しかも買収6か月にして全借金を完済してしまいました。

それどころか、彼は自分の店になったということでますます張り切り、
ビジネスは昔より一層繁盛して、今では店に車の行列ができる状態で、
隣のスペースも借り、工場スペースとリフト台数を増やし、
目下大繁盛です。

まさに買ってよかったのケースです。
できそうだ、そう感じた瞬間からすべてが変わったのです。

このように、大きく見える問題も、細かく噛み砕いてみると、
なんでもない問題、そういうことになるケースが多いものです。
あなたもぜひお試しください。

2. 最優先事項を決める

問題に見えることの問題点は、
すべてが問題に見え、
問題をコントロールできなくなってしまうことです。

まずは問題をコントロール可能にする、
それが問題を噛み砕くやり方ですが、
次に、選択肢が多すぎるとすべてに対応しようとする姿勢が生まれ、
効果的に問題を解決できなくなってしまいます。

そうではなく、問題解決のための選択肢の中から、
これだけは絶対という最優先事項を選び出し、
それさえ達成できれば問題の大半が片付くという
ポイントを把握することが重要です。

3. その決断に基づいてひたすら行動する

的を絞ってその一点に集中して行動する、
だから結果を発生させることができます。

世間では大きな夢がもてはやされ、
多くの方はついそれにだまされ、
大きなことはいいことだの発想で物事を考えがちです。

だから、どうしてもチャレンジ心の必要がそれについて回ります。
そして、現実はより多くのチャレンジ回避者、
失敗者を生み出すことになります。

夢は大きくではなく、
スモールビジネス経営者は小さく考える姿勢が必要です。

自分の身の周りの人、自分が住む地域の人を
確実に顧客にしていく志向でのビジネス展開です。

それが確実性を生み出し、確実に結果を生み出し、
その結果、次の大きなビジネスへとつながるからです。

チャレンジではなく、可能性を感じることが第一、
ぜひ心してください。

スモールビジネスが必要とするのは○億円ではなく、
自分の生活費を含めた基盤づくりに必要なボリュームであり、
自分が確実に達成できそうなボリュームです。

その達成が次なるレベルの達成を可能にし、
その繰り返しでビジネスは成長を達成できるようになります。

まずは自分の身の回りの人を自分のビジネスに取り込む、
そして○千万円のビジネスにし、
ついで○億円ビジネスにレベルアップしていく、
それでこそすべての展開に可能性を感じられるようになり、
ビジネス経営は現実味を帯びた展開になります。

スモールビジネスに必要なことは、
なるべく小さく堅実な取り組み姿勢です。

現実味と可能性を感じられるからこそ、やる気も生まれ、
潜在可能性もフルに発揮されるようになるのです。

そういう姿勢があればこそ、
チャレンジといった肩の張った姿勢が不要になるのです。

さて、すべてが空回り、それで疲れているあなた。
自分の顧客を絞り込むことができず、
集客業務の出費に追われ苦戦しているあなた。
可能性を感じることなく、がむしゃらに取り組んでいるあなた。

その悪循環から抜け出す方法、それは、
すべてを可能性レベルに導く工夫です。
決してチャレンジ心ではありません。

できそうだ、
ぜったいできる、
もし、そのような仕事なら、
あなたもきっと結果を出せるのではないでしょうか。

私たちに必要な考え方について、
チャレンジ意識の前に見直すことがあるような気がしますが、
いかがでしょうか。

(メルマガ『アメリカ発!「スモールビジネス」成功のセオリー』2015年5月11日発行 Vol.773より)